一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
ニュース

高血圧や糖尿病を悪化させる原因は「睡眠障害」? 肥満でない人も睡眠時無呼吸に注意

キーワード: 高血圧 一無・二少・三多 糖尿病 三多(多動・多休・多接) 「多休」休養をしっかりとる 疲労(休養不足)

 睡眠時に呼吸しづらくなる「睡眠呼吸障害」があると、高血圧や糖尿病のリスクが上昇する。
 とくに寝ている間に呼吸が繰り返し止まる「睡眠時無呼吸」は、肥満の人だけでなく、高血圧や糖尿病などの人でも発症の頻度が高いことが、日本人7,713人を対象とした調査で明らかになった。
 肥満や高血圧、糖尿病のある人は、睡眠呼吸障害が起きていないかを調べ、異常が発見されたら治療を受けることで、病気全体が改善できる可能性がある。
高血圧や糖尿病がある人は、睡眠時無呼吸にも注意
 「睡眠呼吸障害」とは、睡眠中に異常な呼吸を示す病気の総称。代表的な疾患は寝ている間に呼吸が繰り返し止まる「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」で、主な症状として、日中の眠気、大きなイビキ、睡眠時のあえぎ呼吸、夜間の頻尿、覚醒時の倦怠感、頭痛などがある。

 睡眠時無呼吸症候群は、日中の過度の眠気などで社会生活に重要な影響をもたらすだけでなく、高血圧、2型糖尿病、心血管障害などの原因にもなると考えられている。

 京都大学の研究グループは、肥満が高血圧や2型糖尿病などの原因になり、さらに肥満と関わりの深い睡眠時無呼吸も影響している可能性があることを明らかにした。

 高血圧や2型糖尿病などがあると、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群の頻度が上昇することが明らかになった。睡眠時無呼吸の頻度は、⾼⾎圧のある人で2.3倍、糖尿病のある人で1.5倍、脂質異常症のある人で1.5倍、メタボリックシンドロームのある人で2.2倍にそれぞれ上昇した。

 さらに、高血圧や2型糖尿病などがあると、肥満がなくても、睡眠時無呼吸の割合が高くなることも分かった。肥満がない場合でも糖尿病などがあれば、睡眠時無呼吸に注意する必要があるという。

 研究は、京都⼤学⼤学院医学研究科呼吸器内科学の松本健客員研究員、同附属ゲノム医学センターの松⽥⽂彦教授、同呼吸管理睡眠制御学の陳和夫特定教授らが、滋賀県長浜市と共同で行っている「ながはまコホート」事業で実施したもの。研究成果は、医学誌「European Respiratory Journal」にオンライン版に発表された。

日本人7,713人を対象に調査 世界最大規模の研究
 研究グループは、肥満と⽣活習慣病がどのように睡眠時無呼吸と関連するかを調査した。7,713人という規模の研究は世界最大級だ。

 「ながはまコホート事業」は、京都大学と滋賀県長浜市が共同して行っている、市民の健康づくりと最先端の医学研究を目的に実施されている研究事業。5年ごとに一般の特定健診に加えて、遺伝子解析を含む血液検査や睡眠検査などのさまざまな検査が行われている。

 研究グループはこのコホート事業で、睡眠呼吸障害(睡眠時無呼吸)の程度と客観的な睡眠時間を測定した。

 肥満は高血圧や2型糖尿病などの主要な原因になるが、それ以外にも、肥満は睡眠時無呼吸のもっとも大きな要因になる。また、睡眠呼吸障害の程度が重度であると、高血圧や糖尿病のリスクは上昇するおそれがある。

 今回の研究では、客観的な睡眠時間の評価のために腕時計型の加速度計と睡眠日誌を、睡眠呼吸障害の評価のためにパルスオキシメーターをそれぞれ用いて、客観的に検証した。

肥満と睡眠呼吸障害は高血圧や糖尿病などと関連している
睡眠時無呼吸は、⾼⾎圧の人で2.3倍、糖尿病の人で1.5倍
 研究グループは今回の研究で、睡眠呼吸障害(⼤部分は睡眠時無呼吸)の程度と肥満の程度、⽣活習慣病(⾼⾎圧、糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドローム)の有無について調査をした。

 その結果、睡眠時無呼吸の程度は、正常範囲内が41%(男性19%、閉経前⼥性74%、閉経後⼥性40%)、軽症が47%(男性58%、閉経前⼥性25%、閉経後⼥性51%)、中等症が10%(男性19%、閉経前⼥性2%、閉経後⼥性8%)、重症が2%(男性5%、閉経前⼥性0%、閉経後⼥性1%)だった。

 睡眠時無呼吸は、⾼齢・肥満になるほど頻度が高くなり、肥満がなくても⽣活習慣病があると中等症以上の頻度が増えることが明らかになった(⾼⾎圧のある人で2.3倍、糖尿病のある人で1.5倍、脂質異常症のある人で1.5倍、メタボリックシンドロームのある人で2.2倍)。

 「肥満も⽣活習慣病もない⼈ < ⽣活習慣病だけある⼈ < 肥満だけある⼈ < 肥満も⽣活習慣病もある⼈」という順番に、治療が必要となる睡眠時無呼吸症候群(SAS)の頻度が⾼くなった。

 これまでSASと関連が深いものとして、肥満がとりわけ注目されてきたが、肥満がなくても⽣活習慣病があれば中等症以上のSASがある可能性があり、注意する必要があることが示された。

年齢、肥満度別の中等症以上の睡眠時無呼吸症候群の頻度
成人男性の4人に1人が「治療が必要な睡眠呼吸障害」
 研究グループが2018年に発表した研究では、▼睡眠時間が短い人は、睡眠呼吸障害を疑ってみる必要がある、▼睡眠呼吸障害は生活習慣病の頻度の上昇と関連しており、肥満や高血圧、2型糖尿病などに睡眠呼吸障害が間接的に関わっている可能性がある、といったことも明らかになっている。

 高血圧や糖尿病の患者で、イビキの大きい人や、治療効果が乏しい人では、睡眠呼吸障害(睡眠時無呼吸)の検査を受けるのが望ましい場合がある。

 肥満が高血圧や2型糖尿病を引き起こすことが多いので、肥満のある人は減量して、体重をコントロールする必要がある。これに加えて、睡眠呼吸障害を治療することで、これらの疾患を改善できる可能性がある。

 2018年の研究では、一般の健診受診者の中で、治療が望ましいとみられる睡眠呼吸障害は、成人男性で4人に1人、閉経後女性で10人に1人にみられることが示された。この頻度は海外とほぼ同程度とみられている。

肥満・⽣活習慣病の有無別の中等症以上の睡眠時無呼吸症候群の頻度
肥満ではない人にも睡眠時無呼吸のリスクが
 今回の研究は、7,713⼈の参加者を対象とした、肥満と⽣活習慣病がどのように睡眠時無呼吸と関連するかを調べたアジア最⼤(世界第2の規模)の研究だ。

 「京都⼤学と⻑浜市が共同して⾏っている"ながはまコホート"から、睡眠時無呼吸症候群と肥満、⽣活習慣病との関連を調べました。⾼齢、肥満になるほど睡眠時無呼吸症候群の頻度は増えましたが、肥満の影響は若年者においてとくに顕著で、また肥満がなくても⽣活習慣病があると中等症以上の睡眠時無呼吸症候群と関連することが分かりました」と、研究者は述べている。

 「アジア⼈は欧⽶⼈と⽐較して肥満が少ないために、睡眠時無呼吸症候群が少ないと思われていましたが、他の⺠族での研究と⽐較しても、その頻度に⼤きな差はなく、やはり睡眠時無呼吸症候群があることに注意する必要があります」と指摘している。

 研究グループは現在、第3期の長浜コホート事業として、今回の研究の対象者の5年後の睡眠時間や睡眠呼吸障害の程度、高血圧や糖尿病の状態などを調査中。

 そのデータを用いて、睡眠時間や睡眠呼吸障害のもともとの程度、あるいはそれらの変化が高血圧や糖尿病にもたらす影響を縦断的に解析し、因果関係について検討する予定だ。

京都⼤学⼤学院医学研究科呼吸器内科学
京都大学ながはま0次コホート
Sleep disordered breathing and metabolic comorbidities across gender and menopausal status in East Asians; the Nagahama Study(European Respiratory Journal 2020 年5⽉13⽇)
[Terahata]

関連トピック

疾患 ▶ 糖尿病

2022年01月26日
【新型コロナ】テレビばかり見ていると血栓症リスクが上昇 糖尿病の人は立ち上がって運動を
2022年01月20日
インターバルトレーニングが糖尿病の人の糖代謝を改善 速歩とゆっくり歩きを交互に 脂肪肝も解消
2022年01月20日
糖尿病は認知症リスクを高める 予備群の段階でリスクは上昇 認知症を防ぐ生活スタイルとは?
2022年01月19日
肉やソーセージを食べ過ぎると糖尿病リスクは上昇 植物性食品に置き換えるとリスクは減少
2022年01月13日
糖尿病の人は血糖値が高いと歯を失いやすい 歯の喪失をこうして防ぐ 予備群の段階からご注意

疾患 ▶ 高血圧

2021年07月12日
コロナ禍での高血圧症患者さんの過ごし方
2021年04月16日
人工知能(AI)により生活習慣病の将来リスクを予測 保健指導での意識・行動の改善に貢献 国際医療研究センターなどが共同研究
2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
運動をすると睡眠を改善できるのはなぜ? 日中に活発なウォーキングを1時間行うと効果的 睡眠時の脳波を調査
2021年04月16日
オフィスを活動的にすると「座り過ぎ」が減る 肥満やメタボの検査値も改善 オフィス環境づくりは大切

一無・二少・三多 ▶ 三多(多動・多休・多接)

2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
運動をすると睡眠を改善できるのはなぜ? 日中に活発なウォーキングを1時間行うと効果的 睡眠時の脳波を調査
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
オフィスを活動的にすると「座り過ぎ」が減る 肥満やメタボの検査値も改善 オフィス環境づくりは大切
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー

生活習慣 ▶ 疲労(休養不足)

2021年10月07日
良い睡眠は糖尿病のコントロールを良くするために必要 睡眠を改善するための5つの方法
2021年04月16日
運動をすると睡眠を改善できるのはなぜ? 日中に活発なウォーキングを1時間行うと効果的 睡眠時の脳波を調査
2021年04月16日
オフィスを活動的にすると「座り過ぎ」が減る 肥満やメタボの検査値も改善 オフィス環境づくりは大切
2021年03月29日
【新型コロナ】東日本大震災から10年 コロナ禍により被災地で心の状態が悪くなった人が増加 「ソーシャル・キャピタル」の減少が原因?
2021年03月29日
【新型コロナ】「未来の自分」に手紙を書くことでネガティブ感情を軽減 明るい未来を想像することがセルフケアに

一無・二少・三多 ▶ 「多休」休養をしっかりとる

2021年04月16日
運動をすると睡眠を改善できるのはなぜ? 日中に活発なウォーキングを1時間行うと効果的 睡眠時の脳波を調査
2021年04月16日
歩く人にやさしい町づくりで認知症リスクを半分に減らす 歩きたくなる町をデザイン クルマ中心からヒト中心の空間に
2021年03月29日
【新型コロナ】東日本大震災から10年 コロナ禍により被災地で心の状態が悪くなった人が増加 「ソーシャル・キャピタル」の減少が原因?
2021年03月29日
【新型コロナ】「未来の自分」に手紙を書くことでネガティブ感情を軽減 明るい未来を想像することがセルフケアに
2021年03月11日
【新型コロナ】看護職の4割強が「仕事を辞めたい、自信がなくなった」 コロナ禍では看護職の精神健康ケアも必要

 ▶ 一無・二少・三多

2022年02月01日
こころの密を育てる―ネガティブになりがちな今だから「多くの人・こと・ものとつながる」
毎年2月は『全国生活習慣病予防月間』―Web講演会公開中!
2022年01月23日
1月23日は『一無、二少、三多の日』!
「一無、二少、三多」ピクトグラム公募結果と全国生活習慣病予防月間2022のご案内
2021年11月17日
全国生活習慣病予防月間2022実施概要決定! 
テーマは多接:多くの人・こと・ものとつながる!
2021年10月13日
昨年より生活満足度は低下、コロナ前後での比較検討も「満足度・生活の質に関する調査報告書2021」より
2021年10月04日
最優秀賞 25万円! 健康スローガン「一無、二少、三多」のピクトグラム公募
予防月間2022
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート