一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
ニュース

たった12週間のウォーキングで自分は変えられる 運動が糖尿病リスクを下げる

キーワード: 糖尿病 骨粗鬆症/ロコモティブシンドローム/サルコペニア 身体活動・運動不足

 これまでスポーツや運動をした経験がなく、運動不足が日常化している。運動する必要があることは理解しているが、実行するのは億劫だ――そんな人でも少しの工夫で、運動を効果的に続けられるという研究が発表された。
 ウォーキングなどの運動を、12週間は頑張って続ける必要がある。でもその後は、運動をすることが楽しくなり、自然に続けられるという。
たった12週間のウォーキングで自分を変える
 ロンドン大学セントジョージ医学校が実施した「PACE-UP」研究に、運動不足が習慣化している45〜75歳の働き盛り世代の男女1,001人が参加した。参加者のほとんどが、研究開始時に肥満か過体重だった。

 参加者の全員に、ウォーキングや日常での身体活動を計測する活動量計(フィットネストラッカー)が渡された。参加者は無作為に2つのグループに分けられ、1つのグループは試験の開始時に運動についてのレクチャーを受け、その後の12週間は活動量計を常に持ち歩いた。

 活動量計からパソコンに、計測した毎日の歩数などをダウンロードし、それをもとにプライマリケアの医療スタッフからのアドバイスを定期的に受け取った。もう1つのグループは従来の運動指導を受けただけだった。

 「今回の試験では、活動量計を使用した介入は、たったの12週間です。その後3〜4年にわたり追跡して調査しました。驚くことに12週間の介入により、多くの人が長期的に運動習慣を変えるのに成功したのです」と、ロンドン大学セントジョージ医学校のプライマリケア研究学部のテス ハリス教授は言う。
活動量計を持ち歩くだけで行動変容が
 活動量計を持ち歩き、医療スタッフから定期的なアドバイスを受けたグループでは、多くの人が介入が終了した後も運動を続けて、その後も数年間にわたり身体活動レベルを高められたことが分かった。中強度から活発なウォーキングのレベルが数年間で30%以上昇していた。

 運動を習慣として続けることで得られる効果は絶大であることも分かった。研究の参加者がウォーキングを3〜4年間続けた結果、骨粗鬆症による骨折のリスクは44%減少し、心臓発作と脳卒中のリスクは66%減少した。

 「ただ活動量計を持ち歩くだけというシンプルな方法でも、中強度のウォーキングに費やす時間を増やせることが分かりました。少しの違いとお思いになるかもしれませんが、長期的には大きな健康への影響を生みだします。運動不足を解消するために、保健指導で運動指導をもっと積極的に行うべきです」と、ハリス教授は言う。

 フィンランドで行われた糖尿病予防研究でも、ウォーキングなどの身体活動を増やすことで、2型糖尿病のリスクを58%減少できることが示された。この研究は運動療法と食事療法を組み合わせたもので、ロンドン大学の研究は運動だけでもリスクを減少できることが示された点が画期的だ。
1日1万歩にこだわる必要はない
 日本で2017年に行われたスポーツ庁の調査では、日本人が1年間に行った運動の中でもっとも多いのはウォーキングであることが示されている。ウォーキングの目標は、「1日1万歩」を達成することだとされている。

 ただし、ハリス教授は「ウォーキングの歩数にはそれほどこだわる必要はない」とアドバイスしている。

 「ウォーキングにより健康増進の効果を得るために、ポイントとなるのは強度です。運動の強度を高めて、心拍数を上げることが重要です。ウォーキングにより少し息切れがして、体温が上がるのを感じるのを目安にすると良いでしょう」と、ハリス教授は言う。

 「ほとんどの人は、10分間におよそ1,000歩のペースで歩くことで、中強度の運動を達成できます。30分間では3,000歩になります。必ずしも1日1万歩にこだわる必要はありませんが、ウォーキングをなるべく毎日行うことをお勧めします」としている。

Short-term pedometer interventions produce significant health benefits several years later(ロンドン大学セントジョージ医学校 2019年6月26日)
Effect of pedometer-based walking interventions on long-term health outcomes: Prospective 4-year follow-up of two randomised controlled trials using routine primary care data(PLOS Medicine 2019年6月25日)
[Terahata]

関連トピック

疾患 ▶ 糖尿病

2022年07月05日
ウクライナの糖尿病患者さんへの支援に対する御礼(IFL本部)
2022年06月06日
高血圧リスクはタンパク質を多様な食品から摂ると減少 通勤時のウォーキングで糖尿病リスクも低下
2022年06月06日
野菜や果物の抗酸化物質に認知症予防の効果 脳の健康を守るためにどの食べ物が良い?
2022年05月16日
「大麦」を食べている日本人の腸内環境は良好 食物繊維の豊富な大麦が善玉菌を増やす?
2022年05月16日
「運動」と「お酢」を組合わせると体重・高血圧・血糖が改善 保健師監修の「毎日運動プラン」を実施

疾患 ▶ 骨粗鬆症/ロコモティブシンドローム/サルコペニア

2022年06月06日
高齢日本の20年後を予測 認知症は減るが格差は拡大 フレイルの合併も増える 女性はとくに深刻
2022年04月13日
高齢者の介護予防では身体機能の維持・向上がポイントに 男性では骨格筋量、女性では脂肪量が余命に影響
2022年04月13日
朝食を食べないとメタボやロコモのリスクが上昇 朝食欠食により体重が増え、筋肉は減る 体内時計に異常が
2021年12月13日
糖尿病の人は筋肉の減少に注意 筋肉が減る「サルコペニア」は早期に対策すれば防げる
2021年10月25日
世界骨粗鬆症デー 糖尿病の人は骨折に注意 40歳過ぎたら骨を強くする対策を

生活習慣 ▶ 身体活動・運動不足

2022年07月04日
子供の頃の運動不足が中年期以降の認知症に影響 運動は認知能力を高める 健康改善は早いほど良い
2022年06月06日
「ヨガ」「太極拳」にストレス解消とリラックスの効果 初心者も気軽に自宅でできる
2022年06月06日
高血圧リスクはタンパク質を多様な食品から摂ると減少 通勤時のウォーキングで糖尿病リスクも低下
2022年06月06日
【新型コロナ】起床・朝食が遅くなった子供で運動不足や栄養バランスの乱れが 規則正しい食事・睡眠が大切
2022年06月06日
余暇に軽い身体活動をするほど健診結果は良くなる 活動量の実測データにもとづく世界初の研究
川柳募集2023
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート