一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
ニュース

骨が分泌する「若返り物質」 運動が若さを保つメカニズムを解明

キーワード: 一無・二少・三多 骨粗鬆症/ロコモティブシンドローム/サルコペニア 三多(多動・多休・多接) 「多動」身体を活発に動かす

 運動により骨に力をかけると、骨を作る細胞が新しくできてくるだけでなく、「オステオカルシン」というタンパク質の分泌も促されることが、岡山大学の研究で明らかになった。
 オステオカルシンは、運動による筋肉増強、認知機能の改善、精力のアップなどに関わっている。
骨から分泌されるオステオカルシンは「若返り物質」
 骨には、運動などの負荷をかけると強くなり、逆に負荷をかけないと弱くなるという性質がある。骨を丈夫にするために効果的な運動は、衝撃や負荷の大きい運動だ。

 逆に、寝たきりの状態の人や、無重力で過ごす宇宙飛行士などでは、骨密度が急激に減少する。運動には転倒予防の効果があり、骨折予防のために重要だが、運動の効果はそれだけではない。

 骨は単なる体の支柱ではなく、重要な臓器のひとつだ。骨の主な成分はコラーゲン線維とそこに沈着しているリン酸カルシウムだが、そのほかにも「オステオカルシン」や「オステオポンチン」などの微量な成分が含まれていて、骨の硬さを調節したり、骨の細胞が接合しやすい足場を作ったりしている

 最近の研究では、これらの微量成分は、骨から溶け出して全身の臓器に働きかけるメッセージ物質として機能していることが分かってきた。

 とくに骨芽細胞から分泌される「オステオカルシン」は大切なメッセージ物質で、脳、精巣、筋肉、膵臓などに働きかけ、記憶力、筋力、精力などをアップする「若返り物質」として働くことが知られている。

 「オステオカルシン」は、インスリン分泌および感受性も促し、全身の糖代謝をコントロールしている。一方、インスリンは、骨芽細胞内のインスリン受容体を介して破骨細胞の骨吸収を活発させる。

 エクソソームは、細胞外小胞とも呼ばれる、細胞から分泌される直径30〜100ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)の顆粒状の物質。内部にmRNAやメッセンジャーRNAなどを含む核酸物質が含まれおり、他の細胞へと受け渡され、細胞間の情報伝達に使われるメッセージ物質だと考えられている。
運動で骨に力を加えるとオステオカルシンを分泌
 研究グループは今回の研究で、骨に力をかけると、新しく骨を作る細胞が増えてくるだけでなく、それらの細胞が「オステオカルシン」を作るタイミングが早まることを発見した。運動により若さを保つ方法を発見できる可能性がある。

 骨は運動や重力などで力が加わると太く丈夫になり、逆に運動不足や微小重力下では細く弱くなる。骨の継ぎ目(縫合部)を広げるように伸展力を加えると、広がった縫合部を埋めようと、骨を作る細胞が新しくリクルートされてきて急速に骨を作る。

 研究グループはネズミを使った実験で、骨縫合部に伸展力をかけると、引っ張られた方向に新しい骨が急速に作られ、このとき骨を作る骨芽細胞が増えるだけではなく、通常より早いタイミングで「オステオカルシン」を分泌する骨芽細胞があらわれることを発見した。

 今回の研究では、運動で骨に力を加えることで、骨の全身に及ぼす働きに違いが出てくることが示された。今後の研究で、骨と運動という観点から、寝たきりで骨が失われるのを防ぐなど超高齢化社会を健康で若々しく生き抜くためのヒントがみつかる可能性がある。

 研究は、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科口腔形態学分野の池亀美華准教授と岡村裕彦教授、朝日大学歯学部の江尻貞一教授らによるもの。詳細は、米国の細胞組織発生学の雑誌「Journal of Histochemistry & Cytochemistry」オンライン版に発表された。
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科口腔形態学分野
Expression of Noncollagenous Bone Matrix Proteins in Osteoblasts Stimulated by Mechanical Stretching in the Cranial Suture of Neonatal Mice(Journal of Histochemistry & Cytochemistry 2018年8月16日)
Osteocalcin Induces Release of Glucagon-Like Peptide-1 and Thereby Stimulates Insulin Secretion in Mice(PLOS ONE 2013年2月20日)
[Terahata]

関連トピック

一無・二少・三多 ▶ 三多(多動・多休・多接)

2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
運動をすると睡眠を改善できるのはなぜ? 日中に活発なウォーキングを1時間行うと効果的 睡眠時の脳波を調査
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
オフィスを活動的にすると「座り過ぎ」が減る 肥満やメタボの検査値も改善 オフィス環境づくりは大切
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー

疾患 ▶ 骨粗鬆症/ロコモティブシンドローム/サルコペニア

2021年12月13日
糖尿病の人は筋肉の減少に注意 筋肉が減る「サルコペニア」は早期に対策すれば防げる
2021年10月25日
世界骨粗鬆症デー 糖尿病の人は骨折に注意 40歳過ぎたら骨を強くする対策を
2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
歩く人にやさしい町づくりで認知症リスクを半分に減らす 歩きたくなる町をデザイン クルマ中心からヒト中心の空間に

一無・二少・三多 ▶ 「多動」身体を活発に動かす

2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
運動をすると睡眠を改善できるのはなぜ? 日中に活発なウォーキングを1時間行うと効果的 睡眠時の脳波を調査
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
オフィスを活動的にすると「座り過ぎ」が減る 肥満やメタボの検査値も改善 オフィス環境づくりは大切
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー

 ▶ 一無・二少・三多

2022年02月01日
こころの密を育てる―ネガティブになりがちな今だから「多くの人・こと・ものとつながる」
毎年2月は『全国生活習慣病予防月間』―Web講演会公開中!
2022年01月23日
1月23日は『一無、二少、三多の日』!
「一無、二少、三多」ピクトグラム公募結果と全国生活習慣病予防月間2022のご案内
2021年11月17日
全国生活習慣病予防月間2022実施概要決定! 
テーマは多接:多くの人・こと・ものとつながる!
2021年10月13日
昨年より生活満足度は低下、コロナ前後での比較検討も「満足度・生活の質に関する調査報告書2021」より
2021年10月04日
最優秀賞 25万円! 健康スローガン「一無、二少、三多」のピクトグラム公募
予防月間2022
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート