一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
ニュース

簡単な体力テストで糖尿病リスクが判明 握力やバランス感覚が重要

キーワード: 糖尿病 骨粗鬆症/ロコモティブシンドローム/サルコペニア 抗加齢(アンチエイジング) 身体活動・運動不足

 2型糖尿病のリスクは簡単な体力テストでが分かる――「握力」や「閉眼片足立ち」の成績が悪いと、2型糖尿病の発症リスクは上昇することが、東北大学の調査で明らかになった。
運動を継続するために体力が必要
 血糖値を下げるインスリンの効きを良くし、2型糖尿病を予防・改善するためには、ウォーキングなどの運動を行い、日頃の活動量を増やしておくと効果的だ。そのためには体力が必要となる。

 体力は運動を継続することで向上できる。全身持久力を向上すれば、運動を長時間続けられるようになり、2型糖尿病が改善することを示した報告は多い。しかし体力には、全身持久力以外にも、筋力やパワー、筋持久力、柔軟性、バランス能力、反応速度などがある。どれを向上させると、2型糖尿病リスクを効果的に下げられるかは不明だった。

 そこで東北大学の研究チームは、「新潟ウェルネススタディ」の一環として、新潟県労働衛生医学協会の協力のもと、糖尿病ではない20〜92歳の健診受診者2万1,802人を対象に体力測定を行った。
握力が低いと2型糖尿病リスクが56%上昇
 体力項目ごとに成績順にそれぞれ4グループに分けて、最大6年間追跡した。その結果、筋力を測定する「握力」と、バランス能力を測定する「閉眼片足立ち」のテスト成績が悪いと、2型糖尿病のリスクが上昇することが明らかになった。

 「握力」の値が体重の8割ぐらい(体重が60kgで握力の成績が48kg)のグループと比べると、半分ぐらい(体重60kgで握力の成績が30kg)のグループでは、2型糖尿病リスクが56%上昇した。

 このほか、下半身のパワーを測定する「垂直跳び」や柔軟性を評価する「立位前屈」の成績も2型糖尿病のリスクに関連していたが、肥満の指標である体格指数(BMI)で調整すると関連は薄くなった。

 筋力やバランス能力とは異なって、2型糖尿病リスクに対するパワーや柔軟性は、肥満が影響している場合もあることが示唆された。その他の全身反応時間や筋持久力については、2型糖尿病のリスクと関連はみられなかった。

 研究は、東北大学大学院医工学研究科の門間陽樹助教(現医学系研究科講師)と永富良一教授が、新潟大学大学院医歯学総合研究科の曽根博仁教授および同大学大学院生活習慣病予防検査医学講座の加藤公則教授、医薬基盤・健康・栄養研究所と共同で行ったもの。研究成果は医学誌「Journal of Epidemiology」に発表された。
握力と閉眼片足立ちの成績が発症リスクと関連
 筋力をあらわす「握力」と、バランス能力をあらわす「閉眼片足立ち」は、ウォーキングや筋力トレーニングなどの運動を毎日行っていれば、向上できる。

「握力」

 筋力を評価する体力測定項目のひとつとなっている。全身の筋力を反映するとされている。
 測定方法が簡単なため、多くの研究で筋力の指標として用いられている。文部科学省の「新体力テスト」の項目にもなっている。

● 握力を回復する簡単な体操
 手のひらサイズの軟式ボールやビニールボールをリズミカルに握る。

「閉眼片足立ち」

 片足立ちテストは足の筋力やバランス機能を調べるのに適しており、短時間で簡単に測定できる。
 両眼をつぶって行う「閉眼片足立ち」ができる時間は、20歳代では1分間を超えるが、年齢を重ねると時間は短くなっていく。なお目を開けて評価する方法もある。
1. 靴を脱いで、壁から50センチほど離れた位置で立つ。
2. 両手を腰にあて、左右どちらでも立ちやすい側の足で片足立ちになる。そのとき両目をつぶる。転倒しないように注意。
3. 上げた足は体を支える軸足にふれないようにする。軸足がずれたり、上げた足が床に着いた時点で終了。
4. 立っていられた時間を測定する。2回行い、良い方を記録する。
 高齢者の場合、バランス能力が低いと転倒リスクが高くなるので、机など体を支えられるものの近くで行う。

●片足立ちでバランスを取る運動
 片足でバランスを取りながら、30〜45秒そのままの姿勢を保つ。バランスを崩してしまったときにすぐ手でつかまれるように、壁やテーブルなどの近くで行う。
東北大学大学院医学系研究科・医学部
Physical fitness tests and type 2 diabetes among Japanese: a longitudinal study from the Niigata Wellness Study(Journal of Epidemiology 2018年7月28日)
[Terahata]

関連トピック

疾患 ▶ 糖尿病

2022年01月26日
【新型コロナ】テレビばかり見ていると血栓症リスクが上昇 糖尿病の人は立ち上がって運動を
2022年01月20日
インターバルトレーニングが糖尿病の人の糖代謝を改善 速歩とゆっくり歩きを交互に 脂肪肝も解消
2022年01月20日
糖尿病は認知症リスクを高める 予備群の段階でリスクは上昇 認知症を防ぐ生活スタイルとは?
2022年01月19日
肉やソーセージを食べ過ぎると糖尿病リスクは上昇 植物性食品に置き換えるとリスクは減少
2022年01月13日
糖尿病の人は血糖値が高いと歯を失いやすい 歯の喪失をこうして防ぐ 予備群の段階からご注意

疾患 ▶ 骨粗鬆症/ロコモティブシンドローム/サルコペニア

2021年12月13日
糖尿病の人は筋肉の減少に注意 筋肉が減る「サルコペニア」は早期に対策すれば防げる
2021年10月25日
世界骨粗鬆症デー 糖尿病の人は骨折に注意 40歳過ぎたら骨を強くする対策を
2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
歩く人にやさしい町づくりで認知症リスクを半分に減らす 歩きたくなる町をデザイン クルマ中心からヒト中心の空間に

生活習慣 ▶ 身体活動・運動不足

2022年01月26日
【新型コロナ】テレビばかり見ていると血栓症リスクが上昇 糖尿病の人は立ち上がって運動を
2022年01月20日
インターバルトレーニングが糖尿病の人の糖代謝を改善 速歩とゆっくり歩きを交互に 脂肪肝も解消
2021年12月22日
ウォーキングなどの運動は糖尿病を改善する「魔法の薬」 運動を増やして、座ったままの時間は少なく
2021年11月10日
新型コロナウイルス感染拡大の陰で起きている体調変化や生活習慣に関する最新調査
2021年10月25日
世界骨粗鬆症デー 糖尿病の人は骨折に注意 40歳過ぎたら骨を強くする対策を

テーマ ▶ 抗加齢(アンチエイジング)

2018年08月24日
簡単な体力テストで糖尿病リスクが判明 握力やバランス感覚が重要
2018年08月06日
2016年度の特定健診の実施率は51.4% 特定保健指導は18.8%で伸び悩み
2018年08月06日
「社会的な孤立」「閉じこもり」は危険 高齢者の死亡リスクが2倍超に
2018年06月22日
「老年医学推進5ヵ年計画」を学会が発表 人生100年時代の高齢者医療
2018年06月13日
水虫に対策するための8つの方法 高齢者の「白癬菌」は要介護のリスクに
予防月間2022
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート