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「長時間労働」が女性の糖尿病リスクを上昇 家事や育児の負担が影響

キーワード: 糖尿病 女性の健康

 長時間労働は女性にとって、家事や育児、介護などとの両立を難しくする要因だ。長時間労働は女性の糖尿病リスクを上昇させるという研究が発表された。ただし、週の労働時間が30〜40時間であればリスクは上昇しないという。
長時間労働は女性にとって大きな問題
 日本では、2016年に働き方改革実現会議が設置され、10回にわたる議論を経て、2017年3月に「働き方改革実行計画」が決定された。

 今年6月には、「働き方改革関連法案」が成立。日本人の働き方は大きな転換点を迎えている。

 「働き方改革」は企業のあり方、労働者の働き方、ライフスタイルに対する考え方を変えていこうという改革。この「働き方改革」の柱のひとつが「長時間労働の解消」だ。

 このうち特に長時間労働は女性にとって、家事や育児、介護などとの両立を難しくし、出生率低下にもつながる大きな問題として取り上げられている。

関連情報
長時間労働が健康障害を引き起こす
 長時間労働は、疲労回復に必要な睡眠・休養時間を減少させ、重大な健康障害を引き起こす可能性がある。

 長時間労働は、労働の負荷を大きくするだけでなく、睡眠・休養時間、家庭生活・余暇時間の不足を引き起こし、精神的負担、疲労の蓄積の原因になる。

 また、国際的にも日本の長時間労働は問題視されている。国連の国際労働機関(ILO)では、「既存の労働者を長時間働かせる社会は未来に展望をひらけない」と述べている。

 これを受けて、「働き方改革」では、時間外労働に上限が設けられ、原則として月45時間、年360時間が適当とされている。
労働時間が週45時間以上の女性は糖尿病リスクが上昇
 「働き方改革」を積極的に推進する企業も増えてきているが、女性が活躍できるような改革は本当に進んでいるだろうか。

 海外に目を向けると、労働時間が週45時間以上の女性は、週35〜40時間の女性に比べて、2型糖尿病の発症リスクが上昇するという研究がカナダで発表された。

 過去の研究でも、長時間労働と糖尿病リスクの上昇との関連が指摘されているが、多くは男性のみに焦点を当てており、女性を対象とした研究は少なかった。

 2型糖尿病は心臓病や脳卒中などの重大なリスク因子であり、その原因として不健康な食事、肥満、運動不足などが挙げられている。最近の研究では、長時間労働時間やストレスも糖尿病リスクを上昇させることが分かってきた。

 「長時間労働は、男性では必ずしも糖尿病リスクを上昇させませんでしたが、女性ではリスクを上昇させました。女性は長時間労働の影響を受けやすいと考えられます」と、トロントの労働健康研究所の上級研究者のキャメロン マスタード氏は言う。
女性は家庭でも重い責任を負わされている
 「女性は家庭で、男性よりも重い責任を負わされています。家事や育児で忙しく、食事や運動など自身の健康管理に費やす時間が短いとみられます」と、マスタード氏は指摘する。

 1週間の労働時間が30〜40時間であれば、女性の糖尿病リスクは上昇しないことも明らかになった。女性の糖尿病リスクを抑えるために、労働時間を増やさない対策も必要だという。

 研究チームは、カナダ保健調査のデータと医療記録をもとに、2003〜2015年の12年間にわたり、35〜74歳の7,065人のカナダ人労働者の健康を追跡調査した。

 労働時間を「15〜34時間」「35〜40時間」「41〜44時間」「45時間以上」に分け、労働時間と2型糖尿病発症の関連について調べた。

 期間中に10人に1人が糖尿病を発症した。女性では、2型糖尿病リスクは労働時間が週35〜40時間の場合に比べて、週45時間以上の場合には63%上昇することが分かった。
労働環境の改善が糖尿病予防につながる
 今回の研究は観察研究であり、因果関係について説明することはできず、糖尿病のタイプについても医療記録から推測することはでない。

 それでも、2型糖尿病などの慢性疾患の発症に、労働環境が大きく影響することは明らかだという。「特に働く女性は、仕事以外にも家事や育児に追われて、自身の健康管理や休養にあてる時間を十分にとれない」と、研究者は指摘している。

 「勤務時間が長いと、慢性的なストレス反応が促され、ホルモンの分泌異常やインスリン抵抗性のリスクを高める可能性があります」と、マスタード氏は説明する。

 「医療は進歩しており、先進国では心疾患の有病数は減少傾向にありますが、糖尿病は過去20年間にわたって増え続けています。しかし、2型糖尿病などの慢性疾患の多くは予防できます。労働環境や条件を改善することが、糖尿病の予防につながります」と、マスタード氏は指摘している。

女性活躍推進法特集ページ(厚生労働省)
働き方改革の実現(首相官邸)
Clocking up 45+ working hours/week linked to heightened risk of diabetes in women(BMJ 2018年7月2日)
Adverse effect of long work hours on incident diabetes in 7065 Ontario workers followed for 12 years(BMJ Open Diabetes Research & Care 2018年7月2日)
[Terahata]

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