一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
ニュース

週3~4回の「飲酒」が糖尿病リスクを低下 アルコールは糖尿病に良い?

キーワード: 二少(少食・少酒) 糖尿病 「少酒」お酒はほどほどに

 週3回から4回飲酒する人は、全く飲まない人と比べ、2型糖尿病の発症リスクが低下することが、デンマークでの研究で示された。特に効果が高いのはワインだという。一方で「アルコールのもたらす影響には個人差がある。飲み過ぎは勧められない」との専門家の声も出ている。
飲酒習慣があると糖尿病リスクが
男性で43%、女性で58%低下
 南デンマーク大学国立公衆衛生研究所のヤネ トルストロプ教授らは、2007〜2008年のデンマーク健康調査に参加した成人男女7万6,484人を対象に、飲酒習慣や健康状態を調査し、2012年まで(中央値4.9年)追跡して、糖尿病発症との関連を調べた。

 追跡期間中に男性では859人、女性では887人が2型糖尿病を発症した。解析した結果、男女とも週間飲酒量と糖尿病リスクにはU字型の関係がみられた。

 2型糖尿病リスクは、飲酒習慣が全くない人と比べて、男性では週に純アルコール換算で168gを飲んでいる人で43%、女性では週に108gを飲んでいる人で58%、それぞれ低下することが分かった。

 なお、ビール(アルコール度数5%)500mLの缶1本に純アルコールは20g、ワイン(12%)グラス1杯(120mL)に純アルコールは12g含まれる。

 この研究は欧州糖尿病学会(EASD)が発行する医学誌「ダイアベトロジア」に発表された。

ワインに糖尿病リスクの低減効果がある
 また、飲酒の頻度が「週に1日未満」の人と比べて、「週に3〜4日」の人では2型糖尿病リスクが男性では27%、女性では32%低下しており、「飲酒の頻度」がリスク低減に影響することが明らかにされた。

 さらに、どのアルコール飲料も同じ効果があるわけではないことも示された。飲酒による糖尿病リスクの低減効果は「ワイン」がもっとも高く、男女ともにワインを週に7杯以上飲む人では、週に1杯未満の人と比べて2型糖尿病リスクは最大で30%低下した。

 また、ビールによる有益性は女性では認められなかったが、男性では週に1〜6杯飲む人において、週に1杯未満の人と比べて2型糖尿病リスクが21%低かった。

 なお、こうした飲酒による有益性はワインとビールに限られおり、ウイスキーやブランデーなどの蒸留酒については、男性では飲酒による糖尿病リスクの低減効果は認められず、女性では逆にリスクが著しく高まった。
アルコールをどれだけ飲んでも良いわけではない
 今回の調査結果を受けて、英国糖尿病学会(Diabetes Uk)のエミリー バーンズ氏は、「今回の調査結果が、推奨量以上のアルコールを飲んでいいという"青信号"を示すものではありません」と注意を促している。

 アルコールは、血管運動中枢に働き、末梢血管を拡張し、体熱の放散を促す。適度なアルコールの摂取によって、血圧が低下することが知られる。

 ただし、アルコールを過剰に摂取すると、肥満、心臓病、肝臓病、がんなどの深刻な病気の原因になるという。

 「糖尿病のある人では、過剰な飲酒は高血圧と体重増加のリスクを高めます」と、バーンズ氏は注意を促している。

 オックスフォード大学とロンドン大学の研究では、適度な飲酒であっても、長年飲み続けていると脳の海馬の萎縮リスクが上昇し、認知機能に悪影響をおよぼすことが示された。
アルコールは適量を守ることが必要
 英国医療サービス(NHS)のガイドラインでは、1週間のアルコール摂取量は男女とも112g以下とし、飲酒しない日も作るべき、としている。これはビールなら2.8L(350mlの缶なら8本)、アルコール度数の低いワインなら小さなグラス11杯分に相当する。

 「今回の研究では、アルコールの摂取量と糖尿病についての因果関係は明らかにされておらず、アルコールをどのように飲むべきか、どのくらい飲むべきかは分かっていません」と、バーンズ氏は言う。

 2型糖尿病の要因は複雑だ。生活習慣、家族歴、体質、年齢、体重など、いくつかの要因が関わっている。アルコールの摂取が糖尿病にもたらす影響は患者によって異なるので、今回の研究だけでは判断できないという。

 「研究で示唆されたことは、糖尿病のリスクを抑えるためには、適量の飲酒を守って、1度に飲み過ぎないことが重要であることです」と付け加えている。

 なお、日本の厚生労働省は、健康の維持向上をはかるための基本方針である「健康日本21」で、「節度ある適度な飲酒」を、1日当たりアルコール摂取量で20g程度、女性は男性よりも少ない量が適当としている。

 アルコール摂取量が男性で40g以上、女性で20g以上になると「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」になり、この量を飲んでいる割合は男性の15.8%、女性の8.8%に上る。

People who drink 3 to 4 times per week less likely to develop diabetes than those who never drink(Diabetologia 2017年7月27日)
Alcohol drinking patterns and risk of diabetes: a cohort study of 70,551 men and women from the general Danish population(Diabetologia 2017年7月27日)
Diabetes UK responds to new alcohol and Type 2 diabetes study(Diabetes UK 2017年7月28日)
Alcohol(米国糖尿病学会 2017年7月28日)
[Terahata]

関連トピック

疾患 ▶ 糖尿病

2022年01月26日
【新型コロナ】テレビばかり見ていると血栓症リスクが上昇 糖尿病の人は立ち上がって運動を
2022年01月20日
インターバルトレーニングが糖尿病の人の糖代謝を改善 速歩とゆっくり歩きを交互に 脂肪肝も解消
2022年01月20日
糖尿病は認知症リスクを高める 予備群の段階でリスクは上昇 認知症を防ぐ生活スタイルとは?
2022年01月19日
肉やソーセージを食べ過ぎると糖尿病リスクは上昇 植物性食品に置き換えるとリスクは減少
2022年01月13日
糖尿病の人は血糖値が高いと歯を失いやすい 歯の喪失をこうして防ぐ 予備群の段階からご注意

一無・二少・三多 ▶ 二少(少食・少酒)

2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー
2021年04月16日
中学生でも肥満だと代謝異常リスクが3倍に上昇 女子中学生では軽度の過体重でも高血圧のリスクが
2021年04月16日
世界肥満デー 世界の20億人が肥満か過体重 2025年までに世界の成人の5人に1人が肥満に

一無・二少・三多 ▶ 「少酒」お酒はほどほどに

2021年10月08日
11月10日〜16日はアルコ―ル関連問題啓発週間です。飲酒と健康に関する講演会は誰でも視聴可能!
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー
2021年04月16日
女性が多量飲酒をすると乳がんリスクが1.7倍に上昇 女性ホルモンが影響か 日本人女性16万人対象の大規模調査
2021年03月11日
女性が多量飲酒をすると乳がんリスクが1.7倍に上昇 女性ホルモンが影響か 日本人女性16万人対象の大規模調査
予防月間2022
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート