一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
ニュース

脳卒中の専門的医療を行う医療施設に地域差 全国調査を行う方針

キーワード: 脳梗塞/脳出血 厚生労働省の調査

 厚生労働省は、「脳卒中に係るワーキンググループ」に、脳卒中の急性期診療提供体制の構築に向けた考え方を示した。2018年度からの次期医療計画を都道府県が策定する際、参考にしてもらうことなどが目的。専門的な医療を行う施設の考え方として、tPA療法(血栓溶解薬治療)の実施には地域差があり、均てん化は不十分であることを指摘。tPA療法の件数などの指標案を提示されたことを受け、都道府県の現状を把握するため調査を行う方針を決めた。
専門的医療を行う施設は、地方では数が限定される
 専門医療施設について、循環器病を診療する施設の役割について、▽高度な専門的医療を行う施設、▽専門的医療を行う施設、▽主に初期対応を行う施設の3つに分類する案を提示。検討会の下に脳卒中と心血管疾患の2つのワーキンググループを設置して議論することを決めていた。

 脳卒中のワーキンググループの初会合では、厚労省は、脳卒中が緊急性や専門性が高い疾患であることにふれ、専門医療施設の役割分担として、「高度な専門的医療を行う施設」は24時間体制で血管内治療・外科治療を行う、「専門的医療を行う施設」は24時間体制でtPA療法行う、「主に初期対応を行う施設」は脳卒中と的確に診断し、専門的医療を行う施設へ転送する――とそれぞれ定めた。
 そのうえで、「専門的医療を行う施設に必要な医療資源の項目を明確にする必要があるのでは ないか」として、常時受入可能で、的確に診断できる病院を確保するために必要な評価項目に関する議論を促した。

 「高度な専門的医療を行う施設」は、地方では数が限定されると考えられ、アクセス方法の確保が必要になる。現状の把握のために、アクセスの「見える化」が有効ではないかという意見が出た。

 長谷川泰弘委員(聖マリアンナ医科大神経内科教授)は、継続的な事後検証作業でtPA施行率を持続的に改善した「川崎脳卒中ネットワーク」(KSN)の取り組みなどを紹介。全国的な課題として、▽搬送後の検証作業などが行われている地域が限られていることや、▽脳卒中医療の質を示す共通の指標を同じ方法で測定し、経年的に、地域別に比較する仕組みが確立していないことなどを挙げた。
地域の脳卒中の診療提供体制の改善をはかることが課題
 参考人として出席した横田裕行・日本医科大大学院教授(高度救命救急センター部長)は、脳卒中が疑われる患者の搬送体制の状況を説明。tPA療法や急性期血管内治療など新しい脳血管内治療で好成績が報告されているが、発症後できるだけ速やかに、脳血管内治療ができる施設へ、患者を搬送することが前提となる。一方で、地域の脳卒中の診療提供体制は限られている。

 救急車の受け入れ要請のうち何台受け入れができたのかを割合で示す「応需率」が改善している地域もあり、地域の脳卒中の診療提供体制の改善をはかるため、地域の開業医や施設医、往診医と病院がうまく連携をとりながら今後の高齢化社会に備える必要性があるとの考えを示した。

 その後、ワーキンググループは、24時間実施可能なCTまたはMRI、脳血管撮影装置の常時実践、tPA静注療法が実施可能な環境、SCU(脳卒中ケアユニット)またはそれに準じる設備、脳神経外科的処置が迅速に行える体制――などの項目に加え、▽tPA療法実施件数、▽来院からtPA療法開始までに要した時間、▽脳外科手術実施件数、▽早期リハビリテーション実施件数、▽地域連携クリティカルパスの導入入・診療計画作成数―などの指標案について議論した。

 「高度な専門的医療を行う施設数」「専門的医療を行う施設数」「遠隔医療システムの導入の有無」「病院間連携施行数(病院間搬送、遠隔医療システムの利用)」「tPA療法実施件数」「脳血管内治療実施件数」「脳外科手術実施件数」に係る指標が必要とされている。

 「tPA療法普及のために、非脳卒中専門医がtPA療法を代替で施行する体制も視野にいれてはどうか」「tPA療法実施可能施設においても、必ずしも24時間365日脳卒中患者を受入可能な体制は構築されていない。tPA療法実施可能な施設の条件として、常時対応可能であることを明示すべきではないか」という意見が出た。

 今後の会合では「回復期?慢性期の診療提供体制の在り方の骨子に関する検討」「急性期診療と回復期?慢性期診療間の連携体制の在り方の骨子に関する検討」などを進める予定。10月上旬をめどに議論を整理し、検討会に報告する。

第1回脳卒中に係るワーキンググループ(厚生労働省2016年8月18日)
[Terahata]

関連トピック

疾患 ▶ 脳梗塞/脳出血

2022年07月13日
熱中症? いや、脳梗塞かもしれない! Part 2
脳梗塞予防の決め手は血管力のアップと牛乳パワー
2022年07月13日
熱中症? いや、脳梗塞かもしれない! Part 1
症状の見分け方と対策
2022年02月28日
食物繊維を多く食べるほど認知症リスクが低下 食物繊維と腸内細菌の良い関係
2021年12月20日
牛乳を毎日1杯飲むと脳卒中リスクが低下 認知症リスクも低下 牛乳に血圧を下げる効果が?
2021年09月15日
ピーナッツを食べると脳卒中リスクが低下 不飽和脂肪酸や食物繊維などが豊富 日本人7万人超を調査

テーマ ▶ 厚生労働省の調査

2021年09月06日
「健康日本21(第二次)」の期間を2023年度までに1年延長。ただし、達成目標は変更せず
2018年09月18日
2017年国民健康・栄養調査(2) 食事エネルギー量は60歳代が最多 外出しない高齢男性が低栄養に
2018年09月18日
2017年国民健康・栄養調査(1) 糖尿病・高血圧・コレステロール 多くの項目で目標未達成
2018年08月24日
厚労省 長時間労働が疑われる事業場の監督指導結果を公表
2018年03月29日
高齢者が働く理由は「体に良い」「老化を防ぐ」 介護中の離職は深刻
予防月間2022
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート