一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
ニュース

メンタルヘルスケアが必要な妊産婦は4万人 育児不安や虐待の原因に

キーワード: ストレス関連疾患/適応障害 「多接」多様なつながり 女性の健康

 メンタルヘルスケアが必要な妊産婦の数は、全国で年間約4万人(全妊産婦の4%)と推計され、介入が必要と考えられることが、厚生労働科学研究の研究班の調査で明らかになった。
半数はメンタルヘルスケアを受けず周囲から孤立
 日本産婦人科医会によると、女性にとって妊娠・出産・育児は、ライフサイクルにおけるもっとも複雑なイベントで、特に出産したばかりの女性は、精神障害の発症の脆弱性をもちやすい。

 妊娠・出産を契機に生じる母親のメンタルヘルスの問題は、育児不安だけでなく、母性喪失、育児ノイローゼ、育児放棄、児童虐待などににつながりかねない。乳幼児期の体験は脳の発達にも影響を与える。

 研究班は、メンタルヘルスケアを必要とする妊産婦の割合を明らかにし、今後の支援につなげることを目的に、日本産婦人科医会の会員で分娩を取り扱う2,453施設を対象にアンケート調査を実施した。昨年11月の1ヵ月間に1,073施設(44.0%)から回答が得られた。

 それによると、1ヵ月間の分娩数(3万8,895件)のうち、メンタルヘルスが必要と考えられた妊婦は1,551人(4%)だった。全国の年間分娩数は約100万人であり、この割合を当てはめると約4万人に相当する。

 介入が必要と考えられた妊産婦は、24歳以下と35歳以上の年齢層が多い傾向があり、最頻値は25~29歳だった。

 メンタルヘルスに介入が必要と考えられた理由は、「精神疾患の診断を受けていた」が29.6%で、17.8%が薬物治療を受けていた。「精神疾患の既往があった」が25.4%、「抑うつ・精神不安の疑いがあった」が38.4%だった。

 背景として見られる家庭や生活環境としては、「結婚していない」18.1%、「貧困など生活面の問題がある」15.0%、「両親の離婚」11.7%、「実母と折り合いが悪い」11.3%、「夫との葛藤がある」10.8%などが挙げられた。

 明らかに精神疾患と診断されておらず、精神疾患の既往がなかったにもかかわらずメンタルヘルスケアが必要と考えられた妊産婦は24.6%だった。

 これらの妊婦は比較的若年で、半数近くはメンタルヘルスケアの専門職のアドバイスを受けることなく、周囲から孤立する傾向が強かったという。
妊婦の心の悩みを早期に発見し、支援に結びつける必要がある
 妊産婦のメンタルヘルスケアに対応したのは、助産婦、産婦人科医、看護師などが約80%で、精神科医や臨床心理士が対応した例はわずかだった。産後の精神科医への紹介は22.4%にとどまっていた。

 こうした状況をふまえ、研究班は、育児支援ネットワークなどの連携システムの機能的な運用に加え、妊産婦のメンタルヘルスケアを専門とする精神科医らを早急に確保する必要性があると指摘している。

 研究代表者の大阪府立母子保健総合医療センターの光田信明氏は、「メンタルヘルスに問題のある妊産婦は実際にはもっと多いとみられる。妊婦さんの心の悩みなどを早期に発見し、支援に結びつける必要がある。産科と精神科との連携強化が重要で、産後の母子カウンセリングを公費負担で行えるよう自治体などに働きかける必要もある」と話している。

日本産婦人科医会
妊娠等について悩まれている方のための相談援助事業連携マニュアル─妊産婦のメンタルヘルスケア体制の構築をめざして─(日本産婦人科医会 2014年3月)
[Terahata]

関連トピック

一無・二少・三多 ▶ 「多接」多様なつながり

2021年10月13日
昨年より生活満足度は低下、コロナ前後での比較検討も「満足度・生活の質に関する調査報告書2021」より
2021年05月11日
孤独・孤立と生活習慣病―健康には社会的接点が不可欠!
2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
オフィスを活動的にすると「座り過ぎ」が減る 肥満やメタボの検査値も改善 オフィス環境づくりは大切
2021年04月16日
母乳育児は母親の「産後うつ」を抑制 授乳時の赤ちゃんに対する働きかけにも効果 目を見て話しかけることが大切

疾患 ▶ ストレス関連疾患/適応障害

2022年01月27日
【新型コロナ】ストレスが感染リスクを高める コロナ禍で幸福度が低下している人への支援が必要
2022年01月11日
【新型コロナ】ストレス解消の効果的な方法は? 糖尿病リスクはストレスがたまると上昇
2021年09月14日
肥満やメタボはメンタルヘルスにも悪影響 幸福感も低下 スティグマなどのサポートが必要
2021年09月06日
メンタルヘルスも「予防」する時代―第10回日本ポジティブサイコロジー医学会の紹介
2021年04月16日
運動をすると睡眠を改善できるのはなぜ? 日中に活発なウォーキングを1時間行うと効果的 睡眠時の脳波を調査

テーマ ▶ 女性の健康

2021年10月08日
【健やか21】発達障害ナビポータルの開設について(厚生労働省、文部科学省など)
2021年10月01日
【健やか21】「食品による窒息 子どもを守るためにできること」チラシを公開(日本小児科学会)
2021年09月24日
【健やか21】令和3年度産後ケア事業 事例集の掲載について(厚生労働省)
2021年09月16日
【健やか21】国内最大の新型コロナウイルス感染症レジストリを使って“小児コロナ患者”の実態を解明(国立成育医療研究センター)
2021年09月10日
【健やか21】不妊になるって本当?妊娠中でも大丈夫?女性のための新型コロナワクチン(mRNAワクチン)解説(厚生労働省)
予防月間2022
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート