一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
ニュース

ウォーキングを100日続けると成果を得られる 仲間がいれば長続き

キーワード: 高血圧 脂質異常症(高脂血症) 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム 「多動」身体を活発に動かす 「多接」多様なつながり 身体活動・運動不足

 ウォーキングの効果を得るためには、少なくとも100日間続ける必要がある。運動習慣のない人がウォーキングを100日続けるのは困難だ。しかし「ともに運動に取り組む仲間を世界中にみつければ、続けるのは難しくない」という研究が発表された。
100日間のウォーキングが体を変える

 運動は2型糖尿病、高血圧、脂質異常症の予防・改善に効果的で、メタボリックシンドロームや肥満を解消するのに役立つ。ストレスを解消でき睡眠の質も改善するなど、メンタル面での効果も大きい。しかし、「運動の効果は分かっているが、ウォーキングを続けるのは大変」という人は少なくない。

 「スマートフォンを活用して、いっしょにウォーキングに取り組む人を世界中にみつければ続けられる」という調査結果が発表された。「運動を続けられない」という人に対する処方箋となる可能性がある。

 研究は2012~2014年に行われ、スマートフォンに記録できる歩数計と対話型のアプリケーション、電子メールでのアドバイスを通じて、参加者にウォーキングを続け1日の歩数を増やすことを促すプログラムが利用された。この研究はシカゴで開催された米国心臓病学会の第65回年次学術集会で発表された。

 研究には64ヵ国の7万人以上の男女が参加し、ほとんどが企業の従業員だった。参加者は欧州、北米、南米、アジア、アフリカなど、世界のさまざまな地域に散らばっており、100日をかけて歩数計の測定値をアプリに記録し、ソーシャルメディアを利用しウォーキングの歩数を共有した。アプリには世界中の参加者が競争したり、交流できる機能も付いており、「いまこの時間にウォーキングをしている人同士で励まし合う」こともできるという。

 参加者は1日に歩数を記録し、「スタップアスロン」というスマートフォンで動作するアプリを使い記録していった。「スタップアスロン」のユーザーは世界54ヵ国にいて、歩数を競い合う「バーチャルレース」などの機能が付いている。

 その結果、100日間のウォーキングを実行した参加者は平均して、1日の歩数が3,500歩増え、座ったまま過ごす時間が45分減り、ウォーキングを行う日が週に1日増えた。さらには、3ヵ月間で体重が1.4kg減った。

ウォーキングを続ければ心臓病や生活習慣病を予防・改善できる

 「参加者の全てが達成できたわけではなく、最後まで続けられたのは半分以上の約3万7,000人でした。しかし、ウォーキングを継続するためにソーシャルメディアを利用するのが効果的であることが実証できました。今回の研究はソーシャルメディアを創造的に活用した好例です」と、オーストラリアのフリンダース大学の循環器内科学部のアナンド ゲヌザン氏は言う。

 「数万人規模の人を対象に、毎日を活動的に過ごし運動不足を減らすよう、行動変容を促すのは容易ではありませんが、多くの人は運動に対する意欲をもっています。世界中に普及しているスマートフォンを活用して、皆でいっせいにウォーキングを開始すれば、100日間続けるのは決して困難なことではありません」と、ゲヌザン氏は強調する。

 心筋梗塞や心不全などの心臓病が原因で命を落とす人は世界で年間に約1,800万人に上り、死因のトップになっている。いつでも、どこでも取り組めるウォーキングは、心臓病を予防・改善するのにもっとも効果的だ。

 座ったまま過ごす時間を減らし、ウォーキングなどの時間を増やせば、心臓病や生活習慣病を予防・改善できる。「最新のテクノロジーであるソーシャルメディアを上手に活用すれば、生活改善がより容易になる可能性があります」と、米国のタフツ大学医療センターのジェフリー クビン氏は言う。

 今回の研究は100日という短期間に行われたものあり、血圧値や血糖値などの測定は行われなかった。「研究がより長期に及んだ場合にどのような効果がみられるかを調べる必要があります」と、クビン氏は付け加えている。

ともに参加する仲間がいればウォーキングは長続きする

 インドのムンバイの企業に勤めるニキタ シャルマさんは28歳の女性で、今回の研究プログラムに参加した。電子メールで送信されるメッセージや、参加者同士の交流は、ウォーキングを続けるための動機付けになったという。

 シャルマさんはプログラム終了時には、活発なウォーキングやサイクリングを1日に45分行っており、1日の歩数は1万2,000歩に増加し、体重は3.6kg減少した。「運動をすることで、1日の活動をより精力的にこなせるようになり、スタミナもつきました」と、シャルマさんは言う。

 運動不足は欧州や米国、日本などの先進国だけではなく、途上国でも深刻な公衆衛生上の課題となってる。「今回の研究は先進国と途上国の分け隔てがなく、参加者がいる国がどこであっても運動の効果を得られることが示されました」と、ゲヌザン氏は言う。

 スマートフォンはどの国においても容易に利用できるメディアだ。「世界中に仲間がいることが分かれば、ウォーキングに対してやる気が出てきます。ソーシャルメディアを健康増進に役立てようという試みは今後も活発になると予想されます」と、ゲヌザン氏は指摘している。

International Technology based Competition Associated with More Exercise(米国心臓学会 2016年4月3日)
Science on the move for health(フリンダース大学 2016年4月9日)

[Terahata]

関連トピック

疾患 ▶ 糖尿病

2022年07月05日
ウクライナの糖尿病患者さんへの支援に対する御礼(IFL本部)
2022年06月06日
高血圧リスクはタンパク質を多様な食品から摂ると減少 通勤時のウォーキングで糖尿病リスクも低下
2022年06月06日
野菜や果物の抗酸化物質に認知症予防の効果 脳の健康を守るためにどの食べ物が良い?
2022年05月16日
「大麦」を食べている日本人の腸内環境は良好 食物繊維の豊富な大麦が善玉菌を増やす?
2022年05月16日
「運動」と「お酢」を組合わせると体重・高血圧・血糖が改善 保健師監修の「毎日運動プラン」を実施

疾患 ▶ 高血圧

2022年06月06日
高血圧リスクはタンパク質を多様な食品から摂ると減少 通勤時のウォーキングで糖尿病リスクも低下
2022年06月06日
生活スタイルの改善による寿命延伸 生活習慣病の多い人ほど効果は高い 80歳以降でも有用
2022年05月16日
「運動」と「お酢」を組合わせると体重・高血圧・血糖が改善 保健師監修の「毎日運動プラン」を実施
2022年04月13日
奥歯の噛み合わせが悪い高齢者は、高血圧リスクが1.7倍に上昇 口の健康が身体機能の維持に関連
2022年02月28日
体重計はもっていても使わない人が45% 体重測定をしない理由は男性は「面倒くさい」 女性は? 意識調査

疾患 ▶ 肥満症/メタボリックシンドローム

2022年07月04日
子供の頃の運動不足が中年期以降の認知症に影響 運動は認知能力を高める 健康改善は早いほど良い
2022年06月13日
食品のカロリー表示が肥満やメタボのリスクを減少 誰もがチーズバーガー3個分を食べ過ぎている?
2022年06月13日
睡眠不足が「内臓脂肪型肥満」の引き金に 睡眠を回復しても短期では元に戻らない
2022年05月16日
「運動」と「お酢」を組合わせると体重・高血圧・血糖が改善 保健師監修の「毎日運動プラン」を実施
2022年05月16日
妊娠中の運動が産まれる子の肥満や糖尿病のリスクを低減 妊娠期の運動で次世代の健康も守れる

疾患 ▶ 脂質異常症(高脂血症)

2022年06月06日
生活スタイルの改善による寿命延伸 生活習慣病の多い人ほど効果は高い 80歳以降でも有用
2022年05月16日
「大麦」を食べている日本人の腸内環境は良好 食物繊維の豊富な大麦が善玉菌を増やす?
2022年04月13日
生活スタイル改善は若い頃から開始する必要が 30代の高血糖や脂質異常はアルツハイマー病のリスクを高める
2021年07月28日
糖尿病はアルツハイマー病の危険因子 脳を活性化して予防 新しいことにもチャレンジ
2021年04月16日
人工知能(AI)により生活習慣病の将来リスクを予測 保健指導での意識・行動の改善に貢献 国際医療研究センターなどが共同研究

生活習慣 ▶ 身体活動・運動不足

2022年07月04日
子供の頃の運動不足が中年期以降の認知症に影響 運動は認知能力を高める 健康改善は早いほど良い
2022年06月06日
「ヨガ」「太極拳」にストレス解消とリラックスの効果 初心者も気軽に自宅でできる
2022年06月06日
高血圧リスクはタンパク質を多様な食品から摂ると減少 通勤時のウォーキングで糖尿病リスクも低下
2022年06月06日
【新型コロナ】起床・朝食が遅くなった子供で運動不足や栄養バランスの乱れが 規則正しい食事・睡眠が大切
2022年06月06日
余暇に軽い身体活動をするほど健診結果は良くなる 活動量の実測データにもとづく世界初の研究

一無・二少・三多 ▶ 「多動」身体を活発に動かす

2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
運動をすると睡眠を改善できるのはなぜ? 日中に活発なウォーキングを1時間行うと効果的 睡眠時の脳波を調査
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
オフィスを活動的にすると「座り過ぎ」が減る 肥満やメタボの検査値も改善 オフィス環境づくりは大切
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー

一無・二少・三多 ▶ 「多接」多様なつながり

2021年10月13日
昨年より生活満足度は低下、コロナ前後での比較検討も「満足度・生活の質に関する調査報告書2021」より
2021年05月11日
孤独・孤立と生活習慣病―健康には社会的接点が不可欠!
2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
オフィスを活動的にすると「座り過ぎ」が減る 肥満やメタボの検査値も改善 オフィス環境づくりは大切
2021年04月16日
母乳育児は母親の「産後うつ」を抑制 授乳時の赤ちゃんに対する働きかけにも効果 目を見て話しかけることが大切
予防月間2022
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート