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ウォーキングが脳を若々しく保つ 活発な運動が認知症の予防に効果的

キーワード: 糖尿病 脳梗塞/脳出血 認知症 身体活動・運動不足

 活発なウォーキングを続けると、脳を若々しく保つことができ、認知症の予防にも効果的であることが分かってきた。「階段を毎日1階分上る」といったやり方でも、毎日続けていれば効果があるという。
運動が認知症を予防するために効果的

 認知症を発症すると、脳がダメージを受けて記憶力や判断力が低下し、日常生活に支障が出てくる。一度発症するともとの状態に戻すのは難しいが、最近の研究で認知症を予防する効果的な方法が分かってきた。

 脳を若々しく保ち、認知症を予防するために効果的なのは「運動」だ。運動は高血圧、糖尿病、脂質異常症などを改善するために効果的だが、さらに大きな効果があることが分かってきた。それは「脳を大きくする」ということだ。

 脳の老化は、脳の神経の収縮や細胞の喪失が原因で起こる。年齢を重ねるとともに脳の「灰白質」と呼ばれる部位が失われ、脳の重量が減っていく。「灰白質」は記憶力、感情、判断力、自己コントロールなどに関わる大切な領域だ。

 ウォーキングなどの有酸素運動を続けると、灰白質の喪失が少ないことが分かっている。それどころか効果的に運動をすれば、灰白質が大きくなることもあるという。息が弾む程度の速さで30分程度のウォーキングを週に5回以上行うのが目安となる。

階段の昇降を毎日続けると脳の健康を維持できる

 健康な脳を維持したければ、エレベーターやエスカレーターをなるべく使わず、階段を昇降すると良い――こんな研究結果をカナダのコンコルディア大学が発表した。研究は医学誌「Neurobiology of Aging」に発表された。

 「加齢にともない脳は老化していきますが、脳を若々しく保つために運動が効果的であることがあらためて示されました。明晰な脳を保つために読書や勉強などの知的な活動が必要ですが、体を動かすことはさらに重要です」と、同大学脳医学・加齢研究所のジェイソン ステフェナー教授は言う。

 研究チームは、「運動」と「知的活動」が脳年齢に与える健康効果を調べるために実験を行った。19~79歳の男女331人を対象に、運動量は「毎日登る階段の数」を、知的活動はその人の「学歴」(教育期間の長さ)を目安にし算出、MRI(磁気共鳴画像法)検査で生理学的な脳年齢を調べた。

 その結果、階段を多く利用する人、学歴が高い人ほど脳年齢が若いことが判明した。具体的には、1日に登る階段の数が1階分多くなるにつれ脳年齢が0.58年若くなることが判明した。また、教育期間が短い人に比べ、1年長くなるにつれ脳年齢が1歳若くなった。

 「階段の昇降は誰もがいつでもどこでも取り組める運動です。エレベーターやエスカレーターに乗らないようにして、1日に1回以上は階段を使うべきです。そうしたシンプルな運動の積み重ねが、脳の健康を促進する効果的なツールとなります」と、ステフェナー教授は言う。

ウォーキングが脳の老化を10年遅らせる

 認知症を予防するためには、汗ばむ程度のややきつめのウォーキングが効果的であることが、米国のマイアミ大学の研究で明らかになった。「ウォーキングなどの有酸素運動を効果的に行えば、脳の老化を10年遅らせることができます」と研究者は述べている。

 研究チームは、マンハッタン北部に在住する876人を対象に調査を行った。参加者に運動をどのくらいの時間行っているかを答えてもらい、7年後に記憶力や思考力をはかるテストとMRI検査を受けてもらい脳年齢を調べた。

 その結果、活発なウォーキングなどの中?高強度の運動を行っている人では、運動をまったくしない人に比べ、記憶力や思考力が向上していることが判明した。運動をしていない人は、およそ10年分の脳の老化が進んでいたという。

 「ウォーキングなどの運動は費用がかからず、薬による治療のような副作用の心配もありません。ただし、効果を得るためにはある程度以上の強度の強い運動が必要です」と、マイアミ大学のクリントン ライト氏は言う。

 参加者の90%はまったく運動をしないか、軽い体操や散歩程度の運動しかしていなかった。「脳の健康を保つためには、息が弾む程度のウォーキングを1日30分以上行う必要があります」とライト氏は指摘する。

糖尿病の人は脳の健康や認知症の予防に注意が必要

 糖尿病の人は、とりわけ脳の健康や認知症の予防について注意する必要がある。米国のペンシルベニア大学医学部の研究で、2型糖尿病の患者は同年齢の糖尿病でない人に比べ、脳重量の喪失が大きくなることが判明した。

 研究チームは、2型糖尿病患者614人(平均年齢62歳)を対象に、脳のMRI検査を行った。参加した患者の糖尿病の罹病歴は約10年だった。その結果、糖尿病の罹病期間が長いほど、脳重量の喪失、特に灰白質の喪失が大きくなっていることが分かった。

 「糖尿病が脳卒中や認知症リスクを上昇させることが知られています。血糖コントロールが不良の状態が続くと、血管障害が引き起こされやすくなります。高血糖は脳血管の障害と脳細胞の退行にも影響をもたらすことが示されました」と、同大学放射線医学部のニック ブライアン教授は言う。

 血糖値の高い状態が続くと、適正な栄養の供給が阻害され全身の臓器にさまざまな障害が起こってくるが、脳の健康にも悪影響が及ぶことが明らかになった。「糖尿病のある人は、脳の萎縮を防ぐために、できる限り早く糖尿病を良好にコントロールする必要があります。ウォーキングなどの有酸素運動を習慣として続けるのも効果的です」と、研究者は述べている。

Want a younger brain? Stay in school — and take the stairs(コンコルディア大学 2016年3月9日)
Exercise May Slow Brain Aging by 10 Years for Older People(米国神経科学学会 2016年3月23日)
Diabetes Duration and Severity Associated with Brain Atrophy(北米放射線医学会 2014年4月29日)
Effect of Diabetes on Brain Structure: The Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes MR Imaging Baseline Data(Radiology 2014年7月)

[Terahata]

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