2016年01月13日
ストレスを軽減する方法 困っている人を助けるとメンタルヘルスが改善
キーワード: ストレス関連疾患/適応障害 「多接」多様なつながり

知人や友達や、周囲の困っている人を手助けすることで、精神的な健康や感情を向上させ、日常のストレスを減らすことができるという調査結果が発表された。
他人を支援する行為を行うとストレスを軽減できる
「多忙な生活をおくる人は、周囲の困っている人に手をさしのべる余裕を失いがちですが、困っている人を見かけたら積極的に助けてあげると、自分自身を助けることにつながります」と、エール大学医学部のエミリー アンセル氏(精神医学)は言う。
混雑している駅の構内の階段などで、子連れの母親が重そうにベビーカーを運ぶ姿を見たことがある人は多いだろう。そんなときに、母親に手を貸したり、ドアを開けたまま待ってあげるといった手助けをするだけでも効果があるという。
研究チームは、18~44歳の77人の参加者を対象に、14日間にわたって日常の感情や経験をスマートフォンで毎日報告してもらった。アルコール依存症や精神疾患、認知障害をもつ人は除外された。
参加者は対人関係、仕事/学校、家庭生活、経済、健康/事故などの日常生活での出来事やストレスについて詳しく報告した。同時に他人を支援する行為を行ったかについても報告した。
参加者のストレスについて、5項目のポジティブ感情と、5項目のネガティブ感情の計10項目からなる簡易尺度「PANAS」を用いて、精神的な健康状態を0~100の段階で評価した。
その結果、他人を支援する行為を行った参加者は精神的な状態が良く、ストレスの影響が少ない傾向があることが判明した。
逆に支援行為の少ない参加者は、ストレスを強く受けており、積極性が失われ、ネガティブな感情が強いことも示された。
困っている人を支援する余裕をもつことが大切
通常よりも強い支援行為を行った人は、ストレスに対する抵抗力が強く、精神的健康が保たれており、その日は幸福感が高まることも分かった。
他人を助ける支援行為は、ストレスのネガティブな影響を取り除く効果があることが示された。驚くことにこうした影響は毎日の生活で一貫してみられるという。
「ストレスを強く受けた日に支援行為を行い、精神的な健康状態が向上し、積極性を得られるという人がみられました。社会的な支援活動を行っている人は、ストレスのネガティブな影響を受けにくいのです」と、アンセル氏は言う。
多くの人はストレスに毎日さらされており、不安や緊張を募らせ、健康が脅かされている。そうであっても、困っている人に社会的支援を施す余裕をもつことが大切だという。
「助けを必要としている他人を支援することで、結果的にあなた自身のストレスを軽減できます。体の不自由な高齢者を見かけたらエレベーターのドアを開けたまま待ってあげる、困っている人を見かけたら声をかけるといった小さなことでも効果はあります」と、アンセル氏は指摘する。
今後の研究では、米国以外の文化の異なる社会でも同様の結果が得られるかを調べる予定だという。
Helping others dampens the effects of everyday stress(エール大学 2015年12月14日)Prosocial Behavior Mitigates the Negative Effects of Stress in Everyday Life(Clinical Psychological Science 2015年12月10日)
[Terahata]