一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
ニュース

認知症を予防するのための食事スタイルが判明 糖尿病や肥満の改善効果も

キーワード: 二少(少食・少酒) 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム ストレス関連疾患/適応障害 三多(多動・多休・多接)

 「マインド ダイエット」と呼ばれる新しい食事スタイルが、アルツハイマー病などの認知症を予防するのに効果的であることが、米国のラッシュ大学医療センターの研究で明らかになった。

 認知症を予防するために効果的な食事スタイルについてはこれまでも研究が行われているが、ラッシュ大学医療センターが行った研究によると、「マインド ダイエット」と呼ばれる食事スタイルは、ほどほどに守っていても効果を得られる点が従来の食事スタイルと異なり画期的だという。

 認知症を予防するための食事スタイルは、糖尿病や肥満を予防・改善するための食事療法と共通する部分が多い。糖尿病や高血圧、肥満などを改善することが、認知症の予防にも役立ちそうだ。

アルツハイマー病の発症リスクが50%以上低下
 医学誌「アルツハイマー病と認知症」に発表された研究で、「マインド ダイエット」を実行した人では、アルツハイマー病の発症リスクが5割以上減少することが明らかになった。ほどほどに実行した人でも発症リスクを4割近く減少した。

 この研究は、1997年に開始された大規模研究「ラッシュ記憶加齢プロジェクト」の参加者923人を対象に行ったもの。研究チームは2004〜2013年に、参加者の食事内容を調べ、認知症の発症を追跡して調査した。

 期間中に144人がアルツハイマー病を発症したが、「マインド ダイエット」を実行した人では、発症リスクが53%低下した。ほどほどに実行下人でも、発症リスクが35%低下した。

 なお、健康的な食事スタイルとして知られる「地中海式ダイエット」と「DASHダイエット」でも、アルツハイマー病はそれぞれ54%と39%低下したが、ほどほどに実行した人では予防効果はほとんど得られなかった。

「地中海式ダイエット」と「DASHダイエット」のハイブリッド
 アルツハイマー病は、「アミロイドβ」という毒性の高いタンパク質が脳に蓄積し、神経細胞が障害を受け、神経細胞が死んでいくことで引き起こされると考えられている。生活スタイルや環境、遺伝的な要因などが発症に関与するが、食習慣も重要な要因となる。

 「マインド ダイエット」は、米ラッシュ大学の栄養疫学部ディレクターのマーサ クレア モーリス氏らが開発した食事スタイルで、健康的な食事として知られる「地中海式ダイエット」と「DASHダイエット」の長所を組み合せたものだ。

 「地中海式ダイエット」は、野菜・果物・豆類などの植物性食品と、地中海地域の特産のオリーブオイル、新鮮な魚介類などを組み合わせた食事スタイルで、肥満やメタボの予防効果があることが知られる。一方、「DASHダイエット」は高血圧の予防・改善のために開発された食事スタイルで、玄米や全粒パンなどの全粒穀物や、低脂肪の肉や乳製品、ナッツや豆類などを積極的にとることが勧められている。

 2つの食事法のハイブリッドである「マインド ダイエット」は、「地中海食とDASH食による神経変性を遅延させるための介入」(Mediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delay)の頭文字をとって「マインド」(MIND)と名付けられた。

10種類の良い食品と5種類の悪い食品
 「マインド ダイエット」の方法はシンプルで、10種類の健康に良い食品を積極的にとり、5種類の健康に悪い食品をなるべく避けるというものだ。

 積極的にとりたい10種類の食品とは――
・葉菜類(キャベツ・ホウレンソウ・レタス・ケール・コマツナ・ハクサイなど)
・根菜などの野菜(ニンジン・トマト・ブロッコリー・カブ・ゴボウなど)
・ナッツ類(クルミ・アーモンド・ピスタチオなど)
・ベリー
・豆類(大豆・インゲン・グリーンピースなど)
・全粒穀物(小麦の全粒粉や玄米など)
・魚(マグロ、カツオ、サーモン、サバなど)
・チキン(脂肪の多い皮の部分を取り除く)
・オリーブオイル
・ワイン

 このうち、ベリーは果物なかで唯一取り上げられており、「アントシアニン」や「ビタミンC」などが豊富に含まれ、動脈硬化・がん・老化・免疫機能の低下などを引き起こす活性酸素を抑える抗酸化作用があるとされている。

 また、赤ワインに含まれるポリフェノールである「レスベラトロール」にも抗酸化作用がある。飲み過ぎには注意が必要だが、1日1杯を飲むと心筋梗塞や認知症などの予防効果を得られることが、過去の研究で確かめられている。

 反対になるべく控えた方が良い5種類の食品は次の通り――
・赤身肉
・バター・マーガリン
・チーズ
・ペイストリーやケーキ、お菓子
・油で揚げた食品、ファストフード

 脂身の多い肉やバター・チーズなどの乳製品など、動物性脂肪に多い飽和脂肪酸は、動脈硬化を進展させ脳の健康にも悪いので、なりべく控えた方が良い。

 今回の研究は介入試験ではないので、「マインド ダイエット」の効果については今後の研究で確かめる必要があるが、研究者は糖尿病、高血圧、肥満などの改善にも役立つ食事スタイルとみている。

 「マインド ダイエット」を実行した期間が長いほどアルツハイマー病の発症は減少したことから、「健康的な食事を若い時に開始すると、より強い効果を得られます。"まだ若いから"と安心せず、今日からでも食生活を見直すべきです」と、モリス氏は述べている。

New Mind Diet May Significantly Protect Against Alzheimer's Disease(ラッシュ大学 2015年3月16日)
MIND diet associated with reduced incidence of Alzheimer's disease(Alzheimer's & Dementia February 2015年2月11日)

[Terahata]

関連トピック

疾患 ▶ 糖尿病

2022年01月26日
【新型コロナ】テレビばかり見ていると血栓症リスクが上昇 糖尿病の人は立ち上がって運動を
2022年01月20日
インターバルトレーニングが糖尿病の人の糖代謝を改善 速歩とゆっくり歩きを交互に 脂肪肝も解消
2022年01月20日
糖尿病は認知症リスクを高める 予備群の段階でリスクは上昇 認知症を防ぐ生活スタイルとは?
2022年01月19日
肉やソーセージを食べ過ぎると糖尿病リスクは上昇 植物性食品に置き換えるとリスクは減少
2022年01月13日
糖尿病の人は血糖値が高いと歯を失いやすい 歯の喪失をこうして防ぐ 予備群の段階からご注意

疾患 ▶ 肥満症/メタボリックシンドローム

2021年12月15日
「早食い」は肥満や体重増加につながる ゆっくり味わって食べるとエネルギー消費量を増やせる
2021年12月10日
肥満は糖尿病の人にとって大敵 体重をコントロールして糖尿病を改善 成功するためのコツは?
2021年11月10日
新型コロナウイルス感染拡大の陰で起きている体調変化や生活習慣に関する最新調査
2021年10月19日
【新型コロナ】糖尿病と肥満の人はなぜ重症化しやすい? 感染と重症化を防ぐためにこれが必要
2021年10月01日
肥満の人は日常生活動作(ADL)が低下しやすい 健康寿命も短縮 若い頃から健康な生活で対策を

一無・二少・三多 ▶ 二少(少食・少酒)

2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー
2021年04月16日
中学生でも肥満だと代謝異常リスクが3倍に上昇 女子中学生では軽度の過体重でも高血圧のリスクが
2021年04月16日
世界肥満デー 世界の20億人が肥満か過体重 2025年までに世界の成人の5人に1人が肥満に

一無・二少・三多 ▶ 三多(多動・多休・多接)

2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
運動をすると睡眠を改善できるのはなぜ? 日中に活発なウォーキングを1時間行うと効果的 睡眠時の脳波を調査
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
オフィスを活動的にすると「座り過ぎ」が減る 肥満やメタボの検査値も改善 オフィス環境づくりは大切
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー

疾患 ▶ ストレス関連疾患/適応障害

2022年01月27日
【新型コロナ】ストレスが感染リスクを高める コロナ禍で幸福度が低下している人への支援が必要
2022年01月11日
【新型コロナ】ストレス解消の効果的な方法は? 糖尿病リスクはストレスがたまると上昇
2021年09月14日
肥満やメタボはメンタルヘルスにも悪影響 幸福感も低下 スティグマなどのサポートが必要
2021年09月06日
メンタルヘルスも「予防」する時代―第10回日本ポジティブサイコロジー医学会の紹介
2021年04月16日
運動をすると睡眠を改善できるのはなぜ? 日中に活発なウォーキングを1時間行うと効果的 睡眠時の脳波を調査
予防月間2022
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート