一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
ニュース

糖尿病が悪化すると睡眠の質も悪化 睡眠を改善する治療が効果的

キーワード: 糖尿病 三多(多動・多休・多接)

 糖尿病の血糖コントロールが悪化すると、深い眠りが妨げられ睡眠の質が低下しやすいことが分かったと、大阪市立大学の研究グループが発表した。睡眠障害が朝の血圧が高い「早朝高血圧」を起こすことも判明した。
 糖尿病と睡眠障害は密接に関連しており、両方を治療することが重要となる可能性が示された。

 糖尿病に伴う高血圧などの病気を防ぐには、血糖値をコントロールするのに加え、睡眠を改善することも重要であることを、大阪市立大学の研究グループが解明した。十分に眠れていない睡眠障害の患者は、糖尿病になりやすいことなどが知られていたが、睡眠障害と血糖コントロールの関連は詳しく分かっていなかった。

 今回の研究は、大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学の稲葉雅章教授らによるもので、米オンライン科学誌「プロスワン」に発表された。

血糖コントロールが悪化すると睡眠を十分にとれなくなる
 睡眠中は、体は眠っているが脳が起きているような状態の浅い眠りである「レム睡眠」と、大脳皮質を休息させる深い眠りである「徐波睡眠」が繰り返される。

 一夜の睡眠の前半では徐波睡眠が多く、後半ではレム睡眠が増加する。ノンレム睡眠は脳を休息させる睡眠で眠りの20〜25%を占め、特に徐波睡眠は熟眠感が得られる質の高い睡眠とされる。

 徐波睡眠の役割として、脳の休息以外に交感神経活動の低下とともに副交感神経活動の上昇が見られ、夜間の血圧低下や血糖コントロールの改善が起きると考えられている。

 糖尿病患者では、そうでない人に比べて不眠が約2倍みられ、睡眠時間の短縮とともに糖尿病の有病率が上昇することや、睡眠障害のある患者では2型糖尿病の発症確率が高くなることが指摘されている。

 研究グループは、63人の2型糖尿病の入院患者を対象に、脳波計を使って睡眠の質を精密に分析。その結果、HbA1cが悪化すると、深睡眠の程度を示すレム睡眠潜時が短縮し、脳を休める徐波睡眠を十分にとれなくなることを確認した。

 HbA1c値と空腹時血糖値が高いと、早朝の血圧値が上昇し、インスリン抵抗性が亢進し、中性脂肪値が高くなることも示された。早朝高血圧は心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントに深く関わっている。

 血糖コントロールが悪化することで「睡眠障害 → 早朝血圧値の上昇 → 心血管イベントリスクの上昇」という悪循環に陥りやすいという。

睡眠障害を治療すれば血糖コントロールも改善
 研究グループは、「糖尿病患者への積極的な睡眠障害に対する治療」の必要性を強調している。睡眠障害を治療することで、不眠によるQOL(生活の質)の低下を防げるだけでなく、交感神経活動の低下により夜間・早朝の高血圧も改善できる可能性がある。

 血糖コントロールを改善すれば、睡眠の質が改善し、早朝の高血圧を防ぎ、動脈硬化の進展予防にもつながる可能性がある。今後の研究で、睡眠障害の治療薬であるオレキシン阻害薬で睡眠を改善すると、糖尿病のコントロール指標がどけだけ改善するかを調査する予定だ。

 「現在は睡眠導入薬が進歩しており、睡眠障害の治療は安全・効果的に行えるようになっている。睡眠障害の治療により、睡眠の質だけでなく、糖尿病の症状も改善させることが期待できる」と、稲葉教授は述べている。

大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学
Association between poor glycemic control, impaired sleep quality, and increased arterial thickening in type 2 diabetic patients(PLOS ONE 2015年4月14日)

[Terahata]

関連トピック

疾患 ▶ 糖尿病

2022年01月26日
【新型コロナ】テレビばかり見ていると血栓症リスクが上昇 糖尿病の人は立ち上がって運動を
2022年01月20日
インターバルトレーニングが糖尿病の人の糖代謝を改善 速歩とゆっくり歩きを交互に 脂肪肝も解消
2022年01月20日
糖尿病は認知症リスクを高める 予備群の段階でリスクは上昇 認知症を防ぐ生活スタイルとは?
2022年01月19日
肉やソーセージを食べ過ぎると糖尿病リスクは上昇 植物性食品に置き換えるとリスクは減少
2022年01月13日
糖尿病の人は血糖値が高いと歯を失いやすい 歯の喪失をこうして防ぐ 予備群の段階からご注意

一無・二少・三多 ▶ 三多(多動・多休・多接)

2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
運動をすると睡眠を改善できるのはなぜ? 日中に活発なウォーキングを1時間行うと効果的 睡眠時の脳波を調査
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
オフィスを活動的にすると「座り過ぎ」が減る 肥満やメタボの検査値も改善 オフィス環境づくりは大切
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー
予防月間2022
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート