2014年10月27日
ブラジャーの着用で乳がんは増える? 乳がん予防に必要な条件
キーワード: 二少(少食・少酒) がん 「無煙」喫煙は万病の元 三多(多動・多休・多接)

ブラジャーの着用は乳がんの増加につながらないことが判明した。多くの女性にとって安心感を与える調査結果だ。
ブラジャーの着用時間やパターンも検討
以前、一部のマスコミで「ブラジャーの着用している女性では、乳がんの発症が増える」と報道されたことがあり、不安に感じている女性は少なくない。今回の研究は、そうした懸念に大きな安心材料を与えるものだ。
乳がんを発症する女性は、日本を含め世界全体で増加傾向にある。先進国では途上国に比べ、乳がんの発症が多い傾向があり、「日常的にブラジャーを付けている女性が多いことが一因ではないか」と疑問がもたれていた。
確かに、ワイヤーで胸を持ち上げ、長時間締め付けるブラジャーは、体になんらかの影響をもたらすのではないかと考えがちだ。しかし、今回の研究で、そうした疑問には生物化学的な根拠はないことが明らかになった。
米フレッドハッチンソンがん研究所の研究チームは、シアトル在住の55〜74歳の女性を対象に調査を行った。乳がんでよくみられる「浸潤性乳管がん」(IDC)454人、「浸潤性小葉がん」(ILC)590人を調査し、乳がんのない女性469人を対照として比較検討した。
その結果、ブラジャーの着用には、乳がんとは関連性がないという結論が導かれた。1日何時間、週に何日といったブラジャーの着用時間から、着用を始めた年齢、ワイヤー入りなど、ブラジャーの種類などもすべて、乳がんとは関連性がないことが明らかになった。
授乳期間が長いと乳がんを予防できる
女性にとっては、もうひとつ気になる調査結果も発表されている。それは「女性が授乳することで乳がんを予防できる」というものだ。
6ヵ月以上の授乳が、非喫煙者である母親の乳がんの予防となる可能性があることがスペインのグラナダ大学によって報告された。
研究チームは、乳がんと授乳の関連を検討するため、2004〜2009年にサンセシリオ大学病院で乳がんと診断・治療を受けた19〜91歳の504名の女性患者の医療記録を分析した。
その結果、出産・授乳をした女性は乳がんと診断される年齢が遅くなることが明らかになった。
さらに6ヵ月以上授乳をした女性は、それよりも授乳期間の短かった女性に比べ、平均して10年遅く乳がんと診断されることが分かった。この傾向は喫煙習慣のない女性でみられた。
ただし、喫煙習慣のある女性では、6ヵ月以上授乳をしていても、乳がんの予防効果をみられなかった。がんを予防するために必要な条件は、たばこを吸わないことだ。
Bra Wearing Not Associated with Breast Cancer Risk: A Population-Based Case-Control Study(米国がん研究学会 2014年9月5日)Breastfeeding and the prevention of breast cancer: a retrospective review of clinical histories(Journal of Clinical Nursing 2013年8月13日)
[Terahata]