2014年05月15日
ジャンクフードが疲労や怠惰の原因? 健康的な食事で解決
キーワード: 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム 脂肪肝/NAFLD/NASH 「少食」食事は腹7~8分目 食生活

栄養価の低いジャンクフードを食べ過ぎて、運動不足が続くと、肥満になるだけでなく、怠惰になりやすい――もしもあなたが最近、疲れやすいと感じているのなら、原因は食べ物にあるかもしれない。
ジャンクフードを食べ続けると、体が疲れやすくなる
ジャンクフードを食べる生活が長く続くと、疲れやすく怠けがちな生活スタイルが定着しやすいことが、米カリフォルニア大学が行った実験で明らかになった。
「怠惰であるからジャンクフードを食べるのではなく、ジャンクフードを食べ続けた結果、体が疲れやすくなり怠惰になるではないか」と、研究者は考察している。
同大学のアーロン ブレイスデル教授(認知行動学)らは、32匹のメスのラットを2群に分け、以下のように、それぞれ2種類の食事を6ヵ月間与える実験を行った。(1)標準食群:穀物や魚の粉を中心とした加工度の低い材料で作ったエサを与える。
(2)ジャンクフード群:糖分が多く加工度が高い、栄養価の低いジャンクフードの近いエサを与える。 3ヵ月後、ジャンクフード群は標準食群よりも顕著に体重が増えていた。肥満になっただけでなく、動きが緩慢になり、疲れやすくなっていた。 この実験では、ラットが食事や水を得るためには、自分でレバーを押す作業をしなければならない仕組みになっていた。ジャンクフード群のラットは、その作業能力が低下していただけでなく、作業の中断時間が標準食群のラットより2倍も長いことが判明した。 さらに、実験開始から6ヵ月後に、9日間にわたりラットの食事内容を両群反対のものに切り替えた。しかし、それによってジャンクフード群だった肥満ラットたちの体重が減ったり、作業能力が改善したりすることはなかった。 一方、標準食を食べ続けたスリムなラットは、急に体重が増加したりはせず、作業能力の低下もみられなかった。
食事スタイルを変えれば、心身ともに劇的に改善
「ジャンクフードを食べる生活が長く続くと、疲れやすく怠けがちな生活スタイルが定着しやすくなり、たとえ健康的な食事に切り換えたとしても、改善するのは難しいことが示されました」と、ブレイスデル教授は述べている。
「人間の場合でも、なかなか作業能率が向上しないと、"怠け者"や"自己管理ができていない"と言われがちです。実は原因が食生活にあるかもしれないと疑ってみるべきです」。
ジャンクフードは、入手しやすく食べやすいことから人気を得て、世界中で多くの人が利用しているが、ジャンクフードを食べることで生活が怠惰になり、さらにジャンクフードを食べたくなるという「悪循環」に陥っている可能性がある。
平日は忙しさにかまけて、ジャンクフードを食べ続けて、休日だけ健康的な食事に切り換えたとしても、効果はあまり期待できないという。健康的な食事スタイルを積み重ねることで、肥満を予防でき、疲れにくい体をつくることができる。
ブレイスデル教授は現在45歳だが、5年以上前から食事改善に励んでいるという。加工食品や精製されたパンやパスタ、穀物や砂糖をなるべく控えるようにし、肉や魚介類、卵、野菜、果物などの、加工されていない自然食品をとるようにした。
「わたしたちの先祖が食べていたような食品を選んで食べるようになりました。その結果、心身ともに劇的な改善をしました」と、ブレイスデル教授は言う。
食生活を変えることで、認知能力にも大きな改善がみられたという。「生活はエネルギーに満ちたものになり、思考は明瞭にはっきりとしたものになりました」と述べている。
現代人の多くは、運動不足や、栄養価の低い食品を食べる生活スタイルが定着している。そのことが肥満や2型糖尿病の増加につながっている。「もっとも身近な食事を見直すことが、改善に向けた第一歩になります」と、ブレイスデル教授は強調している。
Does a junk food diet make you lazy? UCLA psychology study offers answer(カリフォルニア大学 2014年4月4日)
[Terahata]