一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
ニュース

アスリートに習う健康的な体重と筋肉を維持する秘訣

キーワード: 二少(少食・少酒) 肥満症/メタボリックシンドローム 三多(多動・多休・多接) 「多動」身体を活発に動かす

 運動やスポーツをする上での栄養管理はとても大切だ。カロリーや必要な栄養素の摂取が不足すると、筋肉が減少したり、骨密度が低下したり、ケガをしやすくなったりする。スポーツ選手に勧められる食事スタイルは、運動習慣のある一般の人にとっても参考になる点が多い。

 毎日きちんと食事をすることが、体力を維持するための基本となる。三大栄養である炭水化物、タンパク質、脂質をバランスよくとることが大切だ。それに加えて、脂質燃焼を維持しながら筋肉低下を防ぐために勧められるのは低脂質のバランス食で、食物繊維もたっぷり摂取した方がよいことが、運動やスポーツを行うアスリートを対象としたオレゴン州立大学の研究であきらかになった。

 「ダイエット目的で運動をする人では特に、食事のカロリー制限について厳しい傾向がみられます。しかし、必要なカロリーと栄養素を十分にとらないと、かえって不健康になります。栄養素でいえば、タンパク質が不足しがちの人が多くみられます。一時的に流行している食事法に飛びつく人も少なくないのですが、本当に必要なのは持続可能な食事スタイルです」と、オレゴン州立大学のメリンダ マナー教授(運動栄養学)は話す。

●朝食を必ず食べることが大切
 朝食をとらないと体重を減少できると考える人が少なくないが、多くの場合では朝食をきちんととった方が体重コントロールは成功しやすい。米国体重管理局(NWCR)のデータによれば、1年で約15kg(30ポンド)の減量に成功した人々のうち、約8割は朝食を摂取する習慣のある人だった。

●低GIの食品を選ぶと太りにくい
 グリセミックインデックス(GI)は、食品に含まれる糖質の吸収の度合いを示す指数のこと。炭水化物を摂取すると、消化管でブドウ糖に分解され血液に入る。血中のブドウ糖の濃度、つまり血糖値が上昇するが、その食品の消化(分解)から吸収までの速度は食品によって異なる。
 GI値が低いほど糖質の吸収がおだやかになる。逆に高GIの食品を食べると、糖質の吸収が早くなるため、体に大きな負担がかかる。それに対して、低GIの食品は糖質の吸収がおだやかになり、肥満になりにくいと考えられている。
 白いごはんや精製された小麦粉を使ったパンにくらべ、玄米や全粒粉を使ったパンは、GI値が低くなる。うどんやそば、大豆食品などもGI値は低めだ。
 野菜や穀類に含まれる食物繊維は、糖質の吸収をおだやかにする働きがある。海藻類や豆類などの、食物繊維が多く含まれる食品を食事に取り入れることが、食事を低GIに変え、肥満になりにくくなる秘訣となる。

●タンパク質を十分にとる
 多くの人は、運動時の疲労回復のためには運動直後の栄養補給が必要と考え、運動が終わった後で、できるだけ早く炭水化物(糖質)とタンパク質を摂取しようとする。実際には、1時間程度の運動をする場合は特別な栄養補給は必要なく、バランスがとれた食事を1日3回とることに集中すれば十分である。
 また、筋肉を上手に維持・増加するために、筋肉の合成に必要なタンパク質を摂取だが、多くの場合でタンパク質のとり方にムラがある。アスリートの多くは1度の食事で大量のタンパク質をとる食事スタイルを好むが、体に負担のかかるやり方なので勧められない。
 理想的なのは1日の3食でタンパク質を均等にとることで、そのためには主菜・副菜・主食(炭水化物)を揃えることが大切。大豆食品や豆類、ナッツ類などの植物性食品は、肉以外の重要なタンパク質供給源となるので、これらを積極的に食べることも推奨される。

●運動は続けることが大切
 健康状態を保つという意味でも、運動は定期的に、持続的に行うことが必要だが、気温の高い夏や、寒い冬には動けなくなってしまう人が多い。運動は続けることが大切なので、屋外で運動するのが難しいときは、屋内で運動をするなど工夫することが必要だ。

●流行している食事法に飛びつかない
 運動を安全・効果的に続けるために必要なのは、基本栄養素である炭水化物、タンパク質、脂質をバランスよくとること。これができていれば、一時的に流行している食事法を取り入れる必要はない。
 必要以上に厳格にカロリー制限を行ったり、炭水化物やタンパク質などの特定の栄養素を極端に制限する食事を続けると、結果として痩せづらくなったり、運動するのに必要な栄養素を十分に摂取できなくなるおそれがある。また、体重減少に成功したとしても、運動時の疲労感が増大したり、ストレスが増したりする。これは、運動を続けてパフォーマンスを高めるうえで、良い状態はない。

 「健康的な体重を維持し、運動のパフォーマンスを最適化するためには、いくつかの戦略があります。運動をしているからといって、高カロリーの食事をとったり、体の負担になりやすい高GIの食事をすることは勧められません。低GIの食事を実際にとるために、野菜や果物を多くとり、全粒穀類、低脂肪の肉や魚、低脂肪乳類を積極的に取り入れることが大切です」と、マナー教授は話す。

 「糖質の多い高カロリーのスポーツ飲料や炭酸飲料は避けるべきです。また、オレンジジュースとオレンジそのものがあった場合には、オレンジを摂取した方が良いのです。その理由は、カロリーが同じだったとしても、オレンジジュースでは食物繊維を摂取できないからです。生のオレンジをなるべく皮ごと食べると、食物繊維を多く摂取できます」(マナー教授)。

 重要なのは、運動やスポーツをしているからといって、食事の量を急に増やすのはかえって逆効果だということだ。目安としては、お皿の半分を野菜と果物を、残る半分を穀物と蛋白質で埋めて、乳製品などの飲み物も添えることだという。マナー教授は、野菜、果物、全粒粉、蛋白質、乳製品の食品群をバランス良くとることを奨励している。

Athletes need to be careful to monitor diet, weight to maintain muscle mass(オレゴン州立大学 2013年7月23日)

[Terahata]

関連トピック

疾患 ▶ 肥満症/メタボリックシンドローム

2021年12月15日
「早食い」は肥満や体重増加につながる ゆっくり味わって食べるとエネルギー消費量を増やせる
2021年12月10日
肥満は糖尿病の人にとって大敵 体重をコントロールして糖尿病を改善 成功するためのコツは?
2021年11月10日
新型コロナウイルス感染拡大の陰で起きている体調変化や生活習慣に関する最新調査
2021年10月19日
【新型コロナ】糖尿病と肥満の人はなぜ重症化しやすい? 感染と重症化を防ぐためにこれが必要
2021年10月01日
肥満の人は日常生活動作(ADL)が低下しやすい 健康寿命も短縮 若い頃から健康な生活で対策を

一無・二少・三多 ▶ 二少(少食・少酒)

2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー
2021年04月16日
中学生でも肥満だと代謝異常リスクが3倍に上昇 女子中学生では軽度の過体重でも高血圧のリスクが
2021年04月16日
世界肥満デー 世界の20億人が肥満か過体重 2025年までに世界の成人の5人に1人が肥満に

一無・二少・三多 ▶ 三多(多動・多休・多接)

2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
運動をすると睡眠を改善できるのはなぜ? 日中に活発なウォーキングを1時間行うと効果的 睡眠時の脳波を調査
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
オフィスを活動的にすると「座り過ぎ」が減る 肥満やメタボの検査値も改善 オフィス環境づくりは大切
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー

一無・二少・三多 ▶ 「多動」身体を活発に動かす

2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
運動をすると睡眠を改善できるのはなぜ? 日中に活発なウォーキングを1時間行うと効果的 睡眠時の脳波を調査
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
オフィスを活動的にすると「座り過ぎ」が減る 肥満やメタボの検査値も改善 オフィス環境づくりは大切
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー
予防月間2022
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート