2012年07月27日
深夜のテレビ視聴で抑うつリスクが上昇
キーワード: 三多(多動・多休・多接) 健診・保健指導

抑うつ症の原因のひとつは、夜間に明るい人工照明を浴びすぎていることかもしれない、という研究が米国で発表された。
夜間に暗い照明を浴び続けると抑うつ症状があらわれる
夜間に照明を暗くしテレビやパソコンの画面を見続けると、うつ病になるリスクが高まる可能性がある――こんな研究が米国で発表された。夜間に人工照明に長時間されさられたハムスターには、うつ症状があらわれるという。
この研究は米国防総省が資金面で協力し、オハイオ州立大学神経科学のTracy Bedrosian教授らの研究チームが行った。実験では、薄暗い部屋にテレビがついているのと同程度に照明を設定し、そこにハムスターを4週間置き、通常の明暗サイクルに置いたハムスターと行動や脳の働きを比較した。
ハムスターを2グループに分け、片方は通常の照明に8時間さらした後に、暗い照明下に16時間置いた。もう片方には通常の照明に16時間さらした後に、暗闇に8時間置いた。
4週間経過後に観察したところ、暗い照明を浴び続けたハムスターでは、行動の異常が認められた。砂糖水に対する欲求を失っており、水槽を置いても泳がず、動作が緩慢になっていた。
実験後に脳を調べたところ、暗い照明を浴びたハムスターでは異変が起きていた。炎症性サイトカインである「腫瘍壊死因子(TNF)」の産生が認められた。
ストレスなどによる慢性炎症により、リンパ球から炎症反応をオンにするTNFが持続的に放出されることが、抑うつ症状の発症につながっていると考えられている。ヒトのうつ病患者の場合、血液中の炎症性サイトカインはうつ病でない人よりも有意に高いことがわかっている。
さらに、暗い照明を浴び続けたハムスターではメラトニンの反応が低下していることがわかった。メラトニンの量は光の量と関連し、部屋の照明などをコントロールすることで量を変化させることができる。太陽光の減る冬に気分の落ち込みなど、うつ病に似た症状がでる季節性情動障害は、メラトニンの作用の影響があると考えられている。
規則正しい生活をおくり、昼間は日差しを浴びることが、抑うつを防ぎ健康によいことを裏付ける結果になった。「マウスにあらわれた反応は、ヒトの抑うつ症の症状に類似している」とBedrosian氏は言う。
「嬉しい知らせもある。テレビやコンピューターの前で夜遅くまで起きていて、昼夜のサイクルが逆転してしまっている人であっても。夜の人工照明に浴びる時間を最小限に抑えることで、悪影響を打ち消せる可能性があることだ」としている。
異常のあらわれたハムスターを2週間後、正常の概日リズムに戻したところ、正常になった。砂糖水に興味を示し、水槽で泳ぎはじめたという。
Some Harmful Effects Of Light At Night Can Be Reversed, Study Finds(オハイオ州立大学)
[Terahata]