一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
ニュース

夏の異常気象 気温が1度上昇すると死亡リスクが増加 米研究

キーワード: 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム 心筋梗塞/狭心症 脳梗塞/脳出血 三多(多動・多休・多接) 健診・保健指導

 異常気象による夏の高温化は、慢性疾患をもつ高齢者にとって大きな負担になる。米国では記録的な温暖化が続き、今年の3〜4月には多くの地域で過去最高を記録した。日本でも今年の夏は猛暑が予想されている。
気温が1度上昇すると死亡率が2.8〜4.0%上昇
 糖尿病や心筋梗塞など慢性疾患のある患者にとって、夏の高温は大きな影響をもたらすという研究が発表された。気温が1度上昇しただけでも、高齢者の平均寿命を短くし、年間に数千人もの死亡を引き起こすおそれがあるという。

 これまでに熱波の短期の影響を調べた研究は発表されているが、今回の研究は気候変動が平均寿命にもたらす長期的な影響を検討したものだ。米国科学アカデミーが発行する科学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」に4月9日付けで発表された。

 「異常気象による高温化が健康にもたらす影響はよく分かっていなかったが、今回の研究で夏温度中の日差変動が熱波と関係なく平均寿命を短くすることがあきらかになった」とハーバード大学公衆衛生大学院のAntonella Zanobetti氏(環境医療)は話す。

 近年、各地で異常気象が観測されており、世界的に気温は上昇している。特に米国の中部大西洋地域、フランス、スペイン、イタリアのような中緯度の地域で夏期の異常な高温化が報告されている。こうした不安定な気候変動は、医療や健康においても深刻な結果をもたらすおそれがあるという。

 熱波による短期の高温化により熱中症が増えることはかねてより知られていることだが、研究者らは「異常気象が長期化すると、気温の上昇が小さな温度差にとどまったとしても、糖尿病、心不全、慢性肺疾患、心臓発作の既往のある高齢患者で、死亡率が上昇する可能性がある」と指摘する。

高齢者の暑さ対策が緊急の課題に
 研究チームは、米国の公的医療保険制度であるメディケアに加入している、135都市に在住する65歳以上の男女370万人の慢性疾患に関する1985〜2006年の長期データを解析した。夏の高温化や冬の温度変化、オゾンレベルといった比較が可能な環境因子についても調査した。

 その結果、夏に高温化し温度変化が大きくなると、各都市で死亡率が上昇する傾向があることが分かった。夏の気候に異変があらわれ温度が1度上昇すると、高齢者では慢性疾患による死亡率が2.8〜4.0%上昇するという。死亡の危険率は、糖尿病をもっている人では4.0%、心臓発作の既往歴のある人では3.8%、慢性肺疾患のある人では3.7%、心不全のある人では2.8%、それぞれ上昇した。

 米国で夏に異常な温度上昇が起きた場合、死亡数は年間1万人以上も増加する計算になるという。一方で、緑地を備えもった都市では、死亡リスクは1〜2%低いことも分かった。熱さ対策が重要であることを裏付ける結果になった。

 夏の高温化の影響は、特に高齢者や慢性疾患のをもつ患者で、高温化への適応が難しいために深刻だ。「体には環境に適応する能力が備わっている。平均気温が高いと、それに合わせて体の体温を調整する機能が働く。そのため、平均気温の高い都市で死亡率がより上昇するという結果にはならない。例えば、ミネアポリスでよりも気温の高いマイアミでは死亡率は高くならない」とJoel Schwartz氏(環境疫学)は話す。

 「しかし、異常気象で気候が急激な変動し、気温が急激に上昇した場合は、体は変化に追いついていけなくなる。糖尿病などの慢性疾患をもつ人では、特にその傾向が強い。高齢者と糖尿病の人口は急増している。気候と慢性疾患に関連は、今後は大きな問題になる可能性がある」と指摘している。

 この研究は、米国環境保護局と国立環境健康科学研究所による資金提供を受けて行われた。

Summer Temperature Variability May Increase Mortality Risk for Elderly with Chronic Disease(ハーバード大学公衆衛生大学院 2012年4月9日)
[Terahata]

関連トピック

疾患 ▶ 糖尿病

2022年07月05日
ウクライナの糖尿病患者さんへの支援に対する御礼(IFL本部)
2022年06月06日
高血圧リスクはタンパク質を多様な食品から摂ると減少 通勤時のウォーキングで糖尿病リスクも低下
2022年06月06日
野菜や果物の抗酸化物質に認知症予防の効果 脳の健康を守るためにどの食べ物が良い?
2022年05月16日
「大麦」を食べている日本人の腸内環境は良好 食物繊維の豊富な大麦が善玉菌を増やす?
2022年05月16日
「運動」と「お酢」を組合わせると体重・高血圧・血糖が改善 保健師監修の「毎日運動プラン」を実施

疾患 ▶ 肥満症/メタボリックシンドローム

2022年07月04日
子供の頃の運動不足が中年期以降の認知症に影響 運動は認知能力を高める 健康改善は早いほど良い
2022年06月13日
食品のカロリー表示が肥満やメタボのリスクを減少 誰もがチーズバーガー3個分を食べ過ぎている?
2022年06月13日
睡眠不足が「内臓脂肪型肥満」の引き金に 睡眠を回復しても短期では元に戻らない
2022年05月16日
「運動」と「お酢」を組合わせると体重・高血圧・血糖が改善 保健師監修の「毎日運動プラン」を実施
2022年05月16日
妊娠中の運動が産まれる子の肥満や糖尿病のリスクを低減 妊娠期の運動で次世代の健康も守れる

テーマ ▶ 健診・保健指導

2021年05月17日
5月31日は世界禁煙デー、6月6日まで禁煙週間
禁煙で新型コロナに負けないカラダになろう!
2021年03月26日
【健やか21】「日本脳炎ワクチン供給不足が見込まれる現状についてのお知らせ」の掲載について(日本小児科学会)
2021年02月12日
【健やか21】「地域の実情に応じたアウトリーチ型家庭教育支援の取組事例」の掲載について(文部科学省)
2021年01月22日
【健やか21】日本医学会連合が新型コロナ「重症化リスクをお持ちの皆様へ」注意喚起
2021年01月15日
【健やか21】「子どもの食育を考えるフォーラム」がWeb開催(日本小児医療保健協議会)

一無・二少・三多 ▶ 三多(多動・多休・多接)

2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
運動をすると睡眠を改善できるのはなぜ? 日中に活発なウォーキングを1時間行うと効果的 睡眠時の脳波を調査
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
オフィスを活動的にすると「座り過ぎ」が減る 肥満やメタボの検査値も改善 オフィス環境づくりは大切
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー

疾患 ▶ 脳梗塞/脳出血

2022年07月13日
熱中症? いや、脳梗塞かもしれない! Part 2
脳梗塞予防の決め手は血管力のアップと牛乳パワー
2022年07月13日
熱中症? いや、脳梗塞かもしれない! Part 1
症状の見分け方と対策
2022年02月28日
食物繊維を多く食べるほど認知症リスクが低下 食物繊維と腸内細菌の良い関係
2021年12月20日
牛乳を毎日1杯飲むと脳卒中リスクが低下 認知症リスクも低下 牛乳に血圧を下げる効果が?
2021年09月15日
ピーナッツを食べると脳卒中リスクが低下 不飽和脂肪酸や食物繊維などが豊富 日本人7万人超を調査

疾患 ▶ 心筋梗塞/狭心症

2022年07月12日
女性の「心臓発作」の症状は男性とどう違う? 女性でも胸痛・発汗・息切れが多い 「性差医療」が必要
2022年03月10日
「筋トレ」の実施時間が長いほど糖尿病リスクは低下 家庭や職場で簡単にできる筋トレ
2021年09月10日
コーヒーを1日に最大3杯飲むと脳卒中や心臓病のリスクが低下 糖尿病の人にもベネフィットが
2021年03月11日
健康寿命を伸ばすための10の方法 こうすれば健康に長生きできる 国立医療研究センター6機関が提言
2021年02月18日
WHOが「世界の死因トップ10」を発表 心臓病が1位に 糖尿病と認知症も上位に 食事と運動で予防・改善
予防月間2022
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート