2012年03月06日
糖尿病とフットケア:足切断は防げる 治療法も進歩
キーワード: 糖尿病
「フットケアキャラバン in 神奈川」が3月4日に横浜市の県民共済みらいホールで開催された。神奈川県でのフットケアの先進的な取組みが紹介された。
糖尿病や足の血流が悪化する下肢虚血が重くなると、潰瘍や感染が起こりやすくなり、壊死して足切断に至る危険性が高まる。原因となる病気に早く気付き、受診し検査を受けることが大切だ。切断を防ぐためのフットケアや、カテーテルという細い管を血管の中に通し血管を広げる効果的な治療も行われている。

足の動脈硬化 足の切断は防げる
高齢化や糖尿病の増加を背景に増えているのが末梢動脈疾患(PAD)。下肢血管の動脈硬化が原因で、足に潰瘍や壊死が生じた状態が重症下肢虚血と呼ばれている。足につながる動脈が血栓で詰まったり、狭くなったりして、冷えやしびれ、痛みなどを感じる。重症化すると、足先に十分な栄養や酸素が届かず、潰瘍や壊死が起こる可能性が高まる。壊死が指先にとどまらず、足全体に広がることもある。
症状は4段階の重症度であらわされる。I度は手足の冷え、しびれ、足の皮膚の色調の変化。II度は歩くと痛みのため歩けなくなり、しばらく休むと治まる「間欠性跛行」。III度は安静時にも痛みが起こる。IV度になると治りにくい潰瘍ができ、早急の治療が必要になる。
菊名記念病院心臓血管センター長・循環器内科部長の宮本明さんは「足病変を早期に診断すれば、大変な事態にはなりません。ABI検査や画像検査を行えばすぐに診断できます。健診などで異常を指摘されたら、すぐに医師に相談して欲しい」と話す。
ABI検査(足関節上腕血圧比)は足首と上腕の血圧を測定し、その比率(足関節における収縮期の血圧÷上腕における収縮期の血圧)を計算したもの。足の血圧が腕の血圧より低いほどABI値は低下し、足の血流が悪くなっていることが分かる。ABI値が0.9以下のときは、下肢の動脈に狭窄または閉塞が起きていることが疑われる。
足病変が進行した場合も、ここ数年で治療法は大きく変わった。治療は、(1)運動療法(2)薬物療法(3)カテーテル治療(4)外科的治療(バイパス手術)、などがある。このうちカテーテル治療は心臓血管治療などの手法を応用したもので、足の付け根の動脈、膝の裏の動脈などから細い管を動脈に入れ、バルーンや金属製のステントで狭くなった血管を拡張する治療法。
「糖尿病の人に勧められるのは、ウォーキングなどの運動です。運動により血糖コントロールが良くなり、心臓の機能も改善します。精神面での影響も大きく、足が痛くて家に閉じこもりがちになっていたという患者さんが、血管内治療を行うことで再び運動できるようになり、積極的に生活を楽しめるようになった例もあります」と宮本さんはアドバイスする。
「カテーテル治療は患者の負担の少ない低侵襲の治療法で、手術のあと早期に日常生活への復帰が可能です。効果が抜群なので、カテーテル治療が拡がることで、足の切断を避けられると期待されています。足のしびれ、ふくらはぎが痛くて歩けないような症状があれば、早く医師に相談してください」と注意を促す。
日常でできるフットケア 足を毎日チェックすることが重要

[Terahata]