2011年04月22日
肥満のあるシニアでは食事と運動の組合せがベスト
キーワード: 二少(少食・少酒) 脂質異常症(高脂血症) 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム 三多(多動・多休・多接) 身体活動・運動不足 食生活

高齢者では食事療法と運動療法を組合わせて行うと、身体能力が改善し体力低下も抑えられ、もっとも効果が大きいとする研究が米国で発表された。食事と運動のどちらか一方を行うよりも、両方を行った方がより良い成果を得られるという。
米国では肥満が、若い世代と同様に、高齢者でも増えている。65歳以上の人の約2割は肥満で、その割合はベビーブーマーが高齢化するにつれ上昇するとみられている。体重増加の原因として、日常での身体活動の減少、乗用車の普及などで歩く機会がなくなっていること、身体能力や体力の低下などが指摘されている。 高血圧症や心疾患、糖尿病などのある高齢者が、安全に運動をするために配慮が必要となるが、これに肥満が重なるとさらに運動療法を行いにくくなる。
肥満がQOLを低下 食事+運動で対策するともっとも効果的
食事+運動で筋力が向上 骨密度の低下も抑制
研究チームは生活の質(QOL)のスコアについても調査を行った。ここでももっとも大きく改善したのは食事と運動を組合わせて行った群で、食事のみの群が10%、運動のみの群が14%だったのに比べ、15%も改善した。筋力、平衡感覚、歩行機能についても、一貫して改善していた。
「運動と体重コントロールを組み合わせて行うことで得られる恩恵は大きい。肥満のある年配の方では、心疾患の危険因子をみるだけでなく、身体能力を改善しQOLを向上することも重要となる。高齢者が運動をすることでQOLを向上し、寝たきりや転倒、骨折などを予防し、健康寿命を延ばすことにつながる」とVillareal氏は話す。
「肥満のある高齢者で、ただちに減量が勧められるかについては検討が必要だろう。高齢者の減量には、脂肪や筋肉、骨の減少という潜在的な欠点がともなうことがある。高齢者の減量と死亡率との関連を指摘した研究も報告されている」と述べている。
研究では、食事のみで減量した高齢者では、脂肪組織と骨密度が低下している傾向がみられた。食事のみの群では体格指数(BMI)が5%低下したが、股関節部の骨密度も3%低下した。一方、食事と運動を組合わせて行った群では、体格指数(BMI)が3%低下したが、股関節部の骨密度の減少は1%に抑えられた。
この研究は、米ワシントン大学医学部らの研究チームによるもので、医学誌「New England Journal of Medicine」3月31日号に発表された。
Diet-exercise combo best for obese seniors(ワシントン大学医学部、2011年3月30日)Villareal DT et al. Weight loss, exercise, or both and physical function in obese older adults
NEJM, 2011 Mar 31;364(13):1218-29
Diet and Exercise for Obese Older Adults(NEJM)
[Terahata]