2011年04月06日
生活習慣病患者の2〜4割は自分の正確な治療目標を知らない
キーワード: 高血圧 脂質異常症(高脂血症) 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム 動脈硬化 心筋梗塞/狭心症 脳梗塞/脳出血 三多(多動・多休・多接) 健診・保健指導
生活習慣病の治療を受けている患者の多くが自分の治療目標値を正しく知らず、その割合は高血圧で27%、脂質異常症で42%、糖尿病で22%に上ることが、日本心臓財団が全国の医療機関を通じて行った治療に対する意識調査であきらかになった。
生活習慣病の管理は十分とはいえない状況
生活習慣病治療 4割は「自分に適した指導」を望んでいる
通院して治療を受けている生活習慣病患者の多くは、治療については満足しているが、医師に対し個別でよりきめ細かな説明や指導を求めているようだ。
調査で現在受けている生活習慣病の治療に対する満足度を聞いたところ、「満足している」が58%と過半数を占めた。医師や医療従事者に伝えたいことを複数回答で選択してもらったところ、「一般的なことはよくわかっているので、自分に適したきめ細かな指導を行ってほしい」という意見が37%でもっとも多かった。
さらに「治療の目標や見通しについてもっと詳しく説明してほしい」が21%、「生活習慣を変えるのは難しいので、生活習慣の改善について専門的な立場から相談にのってほしい」が18%に上った。
今回の調査結果について、京都大大学院医学研究科の藤田正俊教授は「医療の現場では、治療目標のの達成率の低さが問題になっている。今回の調査で、2〜4割の患者さんが自分自身の治療目標値を知らないと回答したことに、その原因の一端があらわれていると思う」とコメント。さらに「生活習慣病の治療効果をあげるには、医師と患者さんが共通の認識をもって、治療目標にむかってパートナーとして取り組むことが大切」と指摘している。
日本心臓財団の「生活習慣病改善プログラム」中央推進委員長を務める京都大学の篠山重威名誉教授は「健康という概念は人間の行動にかかわるもので、生物学的データで画一的に取り扱うことはできない。多角的な広い視野をもって取り組まねばならないと思う」と指摘し、「これまでの科学は普遍性を探求してきたが、全ての生き物は多様性を特徴とすることを忘れてはならない」と述べている。
財団法人日本心臓財団
[Terahata]