一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
ニュース

アジア人は肥満でなくとも2型糖尿病になりやすい 23万人を調査

キーワード: 二少(少食・少酒) 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム 三多(多動・多休・多接)

 アジア人は欧米人に比べ、痩せている人でも2型糖尿病を発症する危険性が高くなることが、アジア系米国人約1万1千人を含む約23万人を対象とした調査であきらかになった。アジア系では白人に比べ、2型糖尿病の発症率が30〜50%高いという。

 研究は米ジョンズ・ホプキンズ大学のJi Won R. Lee氏らの研究チームによるもので、米国糖尿病学会(ADA)が発行する医学誌「Diabetes Care」2月号に発表された。

 研究チームは1997年から2008年の米国民健康調査(NHIS)の結果を解析した。対象となったのは18歳以上の米国人23万503人で、アジア系米国人が1万1056人含まれていた。

アジア人は少しの肥満や運動不足で糖尿病を発症
 糖尿病患者の割合は、白人では約4%から6%に増えたのに対し、アジア系では4%から8%に増え、アジア系の方が糖尿病の割合が高かった。一方、肥満の割合は、アジア系17%に対し白人は25%で、アジア系では低かった。

 ロジスティック回帰分析で得られた結果は、アジア系米国人は白人に比べ30%〜50%、糖尿病になりやすいということだった。インドや中国、日本などアジアの各国で2型糖尿病の増加は深刻な問題になっている。

 日本人を含むアジア系は、白人に比べ、肥満でなくとも糖尿病や動脈硬化が起こりやすいことが知られている。人類の歴史では飢餓状態の時期が長く続いた。食料が少ないときも限られたエネルギーを有効に使うために、アジア系では多くの人が「倹約遺伝子」をもっていると考えられている。

 飢餓時代を生きのびるための体の仕組みが、飽食の現代では仇となる。倹約遺伝子のある人では、少しのエネルギー過多や運動不足でも、内臓脂肪が蓄積しやすい。内臓脂肪からは体の代謝機能に影響するさまざまなホルモンが分泌されるため、2型糖尿病や動脈硬化の進行が加速しする。つまり、豊かな生活をおくる現代の日本人の多くで、少しの食べすぎ・運動不足が糖尿病につながりやすい。

 「アジアで糖尿病の危険性が拡大している。しかし、多くの人々がそのことに気づいていない」と論文著者のひとりであるHsin-Chieh Yeh博士は指摘する。「2型糖尿病の発症には遺伝的な要因もからんでいるが、不健康な生活習慣との組合わせが発症の引き金となる」としている。

 研究では実際に、アジア系では白人やアフリカ系に比べ体重が少ないが、腹部脂肪の割合が高いことが確かめられた。一方で、アジア系の人では、運動不足の傾向があることも分かった。

 「体重や内臓脂肪は、1日に運動する時間を少しでも増やすことで、減らすことができる。健康的な食事とエネルギー摂取に関心をもち、運動を習慣的に行うことで、糖尿病の危険性は低下する」とYeh氏は述べている。

 「中高年以上の人は、定期的に検査を受け医師にチェックしてもらい、早期に対策することも重要だ。糖尿病と診断されなくとも血糖値が高めであれば、“前糖尿病(pre-diabetes)”という段階にあり、危険性が高いことを示している」としている。

Trends in the Prevalence of Type 2 Diabetes in Asians Versus Whites
Results from the United States National Health Interview Survey, 1997-2008

Diabetes Care, February 2011 vol. 34 no. 2 353-357

[Terahata]

関連トピック

疾患 ▶ 糖尿病

2022年01月26日
【新型コロナ】テレビばかり見ていると血栓症リスクが上昇 糖尿病の人は立ち上がって運動を
2022年01月20日
インターバルトレーニングが糖尿病の人の糖代謝を改善 速歩とゆっくり歩きを交互に 脂肪肝も解消
2022年01月20日
糖尿病は認知症リスクを高める 予備群の段階でリスクは上昇 認知症を防ぐ生活スタイルとは?
2022年01月19日
肉やソーセージを食べ過ぎると糖尿病リスクは上昇 植物性食品に置き換えるとリスクは減少
2022年01月13日
糖尿病の人は血糖値が高いと歯を失いやすい 歯の喪失をこうして防ぐ 予備群の段階からご注意

疾患 ▶ 肥満症/メタボリックシンドローム

2021年12月15日
「早食い」は肥満や体重増加につながる ゆっくり味わって食べるとエネルギー消費量を増やせる
2021年12月10日
肥満は糖尿病の人にとって大敵 体重をコントロールして糖尿病を改善 成功するためのコツは?
2021年11月10日
新型コロナウイルス感染拡大の陰で起きている体調変化や生活習慣に関する最新調査
2021年10月19日
【新型コロナ】糖尿病と肥満の人はなぜ重症化しやすい? 感染と重症化を防ぐためにこれが必要
2021年10月01日
肥満の人は日常生活動作(ADL)が低下しやすい 健康寿命も短縮 若い頃から健康な生活で対策を

一無・二少・三多 ▶ 二少(少食・少酒)

2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー
2021年04月16日
中学生でも肥満だと代謝異常リスクが3倍に上昇 女子中学生では軽度の過体重でも高血圧のリスクが
2021年04月16日
世界肥満デー 世界の20億人が肥満か過体重 2025年までに世界の成人の5人に1人が肥満に

一無・二少・三多 ▶ 三多(多動・多休・多接)

2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
運動をすると睡眠を改善できるのはなぜ? 日中に活発なウォーキングを1時間行うと効果的 睡眠時の脳波を調査
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
オフィスを活動的にすると「座り過ぎ」が減る 肥満やメタボの検査値も改善 オフィス環境づくりは大切
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー
予防月間2022
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート