一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
ニュース

1日当たりの歩数を増やすとインスリン感受性が改善

キーワード: 糖尿病 三多(多動・多休・多接) 身体活動・運動不足

 健康増進のための運動として「1日に1万歩、歩きましょう」とアドバイスされることが多い。一方、患者からは「毎日1万歩を歩くのは、なかなか辛い」といった声も聞かれる。最近は「1日の歩数を1000歩増やすだけでも効果がある」といった指導が行われることも多い。1日にどけだけ歩くと、運動の効果を十分に得られるのだろうか。
1日に20分以上のウォーキングが体を変えていく
ウォーキングを楽しくするコツ
オーストラリア糖尿病協会(Diabetes Australia)によると、ウォーキングは続けることで楽しさが増す運動だ。
  • ウォーキングの時間を、1日に3〜5分でも良いので、少しずつ増やしていこう。週に5日、ウォーキングの時間を30〜45分に増やすのが目標。
  • 歩数計を持ち歩くとやる気が増す。まずは1、2週間、ためしに歩数計を持ってみよう。それから歩数を500歩ずつでも増やしていく。ウォーキングは慣れると楽しく続けられるようになるので、歩数カウントが増えていくのを見ると嬉しくなるはずだ。
  • 5分間のウォーキングで燃やせるカロリーは24kcal程度。少ない数字と思うかもしれないが、1年続ければ8760kcalという大きな数字になる。
  • ウォーキングの前後に5〜10分のストレッチを加えよう。
  • 運動の前に240mL(約8オンス)の水を飲もう。暑い日には汗をかくので、ボトル入りの飲料も忘れずに。
  • 日差しが強い日には帽子を持っていったり、屋根の付いたモールを歩く方法もある。
  • 糖尿病の治療を受けており、低血糖のおそれがある人は、捕食の準備や、糖尿病であることを知らせるカードなども必要。運動時に低血糖がたびたび起こる場合や、糖尿病合併症の心配のある人は、主治医にチェックしてもらおう。
 国の健康づくり運動で定めた目標歩数は「男性9200歩以上、女性8300歩以上」だが、実際の日本人の1日の平均歩数は男性で7214歩、女性で6352歩(2009年調査)。男女ともに約2000歩ほど足りていない。

 10分に1000歩のリズムで歩く人では、1日に20分以上歩くと、目標に達する計算になる。1000歩だと時間にして約10分、距離にすると600〜700メートル。がんばって歩こうと肩に力を入れなくても、毎日の生活を少し工夫するだけで楽に達成できる数字だ。

 オーストラリアの研究者が発表した最近の研究によると、1日に歩数を増やすほど、肥満や2型糖尿病の危険性は低下するという。

 1日の歩数を1000歩増やすとウエスト・ヒップ比と体重が減少し、インスリン感受性も改善するが、歩数を1万歩(約8km)に増やすと、インスリン感受性は10%も改善し、体重は平均2キログラム減少する。

 この研究は、2000年から2005年にかけてオーストラリアで実施された大規模コホート研究に参加した592人を対象に行われた。参加者の平均年齢は、男性(267人)51.4歳、女性(325人)50.3歳だった。英国医師会誌「British Medical Journal」に1月13日付けで発表された。

 研究リーダーのマードック小児研究所(メルボルン)のTerry Dwyer教授は、「ウォーキングは手軽に取り組める運動だが、確かな効果を期待できる。ウォーキングが体重を減らし、インスリン感受性を向上する効果があることが確かめられた」と話す。

 参加者に歩数計を持ち歩き1日の歩数をカウントしてもらい、体格指数(BMI)、ウエスト・ヒップ比、インスリン抵抗性の指標となるHOMA値を調べた。

 5年間に、参加者の65%で1日あたりの歩数が減少したが、1日の歩数が増加した人では、歩数増加にともないBMIが1000歩あたり0.08減少し、ウエスト・ヒップ比も0.15減少していた。HOMA値は1.38になりインスリン感受性が改善したことが分かった。

 研究リーダーのマードック小児研究所(メルボルン)のTerry Dwyer教授は「ウォーキングは手軽に取り組める運動だが、確かな効果を期待できる。中年以降で男女ともに、ウォーキングが体重を減らし、インスリン感受性を向上する効果があることが確かめられた」と話す。

 1日の歩数を増やす取組みを5年続けると、歩数が多いほど肥満やウエスト・ヒップ比、インスリン抵抗性がより改善されている傾向がみられた。インスリンの効きがより改善し、ウエスト周りがよりスマートになった。これは、食事でのエネルギー摂取量の変化によるものではなく、余計な体脂肪を落とすことでもたらされるという。

 「最近の国際的な運動ガイドラインでは、“歩数を週に5日、3000歩ずつ増やそう”とアドバイスしている。1日に1万歩のウォーキングにより、運動の効果をより得られることが分かった。“1日に1万歩”を続けた人ではインスリン感受性が改善していた」とDwyer教授は強調している。

Dwyer T et al.Association of change in daily step count over five years with insulin sensitivity and adiposity: population based cohort study
British Medical Journal, 2011; 342:c7249
Taking more steps every day can help ward off diabetes(マードック小児研究所)
平成21年国民健康・栄養調査結果(厚生労働省)

[Terahata]

関連トピック

疾患 ▶ 糖尿病

2022年07月05日
ウクライナの糖尿病患者さんへの支援に対する御礼(IFL本部)
2022年06月06日
高血圧リスクはタンパク質を多様な食品から摂ると減少 通勤時のウォーキングで糖尿病リスクも低下
2022年06月06日
野菜や果物の抗酸化物質に認知症予防の効果 脳の健康を守るためにどの食べ物が良い?
2022年05月16日
「大麦」を食べている日本人の腸内環境は良好 食物繊維の豊富な大麦が善玉菌を増やす?
2022年05月16日
「運動」と「お酢」を組合わせると体重・高血圧・血糖が改善 保健師監修の「毎日運動プラン」を実施

一無・二少・三多 ▶ 三多(多動・多休・多接)

2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
運動をすると睡眠を改善できるのはなぜ? 日中に活発なウォーキングを1時間行うと効果的 睡眠時の脳波を調査
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
オフィスを活動的にすると「座り過ぎ」が減る 肥満やメタボの検査値も改善 オフィス環境づくりは大切
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー

生活習慣 ▶ 身体活動・運動不足

2022年07月04日
子供の頃の運動不足が中年期以降の認知症に影響 運動は認知能力を高める 健康改善は早いほど良い
2022年06月06日
「ヨガ」「太極拳」にストレス解消とリラックスの効果 初心者も気軽に自宅でできる
2022年06月06日
高血圧リスクはタンパク質を多様な食品から摂ると減少 通勤時のウォーキングで糖尿病リスクも低下
2022年06月06日
【新型コロナ】起床・朝食が遅くなった子供で運動不足や栄養バランスの乱れが 規則正しい食事・睡眠が大切
2022年06月06日
余暇に軽い身体活動をするほど健診結果は良くなる 活動量の実測データにもとづく世界初の研究
川柳募集2023
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート