2010年07月05日
遺伝子をみて100歳以上の長寿を予測 精度は77% 米研究
歳をとっても健康的でいられるためには、食事や運動などの生活習慣による環境要因や、家族歴の影響が大きい一方で、長寿に対しては遺伝子の果たす役割も大きいという研究が、米ボストン大学やボストン大学メディカルセンターなどの研究者によって発表された。
100歳以上の長寿の人の77%にあてはまる遺伝子多型がみつかったという。この研究は、米科学誌「サイエンス」オンライン版に7月1日に発表された。
1人ひとりに最適な治療を行う「オーダーメイド医療」の実現へ
研究チームは、元気な高齢者には共通する遺伝子多型があるという仮説をにもとづき、米国白人のうち100歳以上の長寿の人(1055人)、一般的な人(1267人)を対象に、遺伝子の塩基配列が1ヵ所だけ違う「一塩基多型(SNP)」を調べた。ヒトの遺伝情報はほとんどが共通しているが、わずかな個人差(遺伝子多型)があり、その一部が体質や病気のなりやすさに関係していると考えられている。
両群を比べた結果、遺伝子の塩基配列に違いがあることを発見。このうち150ヵ所を目印に、100歳以上まで長生きしている人とそうでない人との違いを統計的に調べたところ、77%の精度でみわけられることが分かった。また、長寿に特徴的なこれらの塩基配列を多くもつ人ほど、心疾患や2型糖尿病の発症率が低い傾向もみられたという。
1人ひとり違う遺伝子をみて、その人にもっとも効果的な治療や予防を行う「オーダーメイド医療」は、医療費の節減にもつながると期待されている。これまでの研究で、欧米人と日本人の遺伝暗号はかなり違うことも分かっているが、今回の研究成果はアルツハイマー病、心疾患、2型糖尿病などにも適用することができ、新しい治療や予防医学を開発する上で役立つのではないかとみられている。
「新たな遺伝子多型のスクリーニング検査を開発すれば、多くの病気を予防したり初期に診断できるようになる。患者にもっとも適合したオーダーメイド医療も行えるようになる」と、ニューイングランド長寿研究(New England Centenarian Study)を創設したThomas Perls博士は述べている。
「長寿に特徴的な遺伝子多型を調べることが、加齢にともない増える病気の予防や治療に役立つ」と話す研究者
Boston University Researchers Identify Genetic Signatures of Human Exceptional Longevity(ボストン大学)
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[Terahata]