2010年06月17日
がん死亡が減少、検診受診率は低迷 厚労省が中間報告
75歳未満でがんによる死亡者が3年間で6%近く減少したことが15日、厚生労働省が公表した「がん対策推進基本計画中間報告書」で分かった。一方で、がん検診の受診率の向上や、がんの予防の分野では目標を達成できていない項目も目立つ。
がん死亡率:3年で5.6%減少
がんの早期発見:検診の受診率は低迷
「がんの早期発見・治療」も重要な課題。日本のがん検診の受診率は、欧米に比べて低い。乳がん検診や大腸がん検診など、「がん検診の受診率を50%以上に引き上げる」ことを目標にしているが、現段階では20〜30%台にとどまっており、達成はかなり難しいという結果になった。
検診受診率は、胃がん、肺がん、大腸がんでは増加傾向がみられたが、女性の子宮がん、乳がんではあまり改善されていない。2007年の国民生活基礎調査によると、がん検診の受診率は、男性では胃がん32.5%、肺がん25.7%、大腸がん27.5%、女性では胃がん25.3%、肺がん21.1%、子宮がん21.3%、乳がん20.3%、大腸がん2.7%となっている。
市町村などからは「がん検診が労働安全衛生法で義務付けられていない」、「メタボ健診(特定健診)の影響もあるのでは」という声も出ている。
今後、受診率の向上をめざした啓発事業や、自治体や検診期間でのハンドブックなどを用いた普及啓発、個人への通知など受診勧奨に力を入れるという。
がん予防:未成年者喫煙率、目標達成できず
がんの予防では「未成年者の喫煙率を3年以内に0%に」、「受動喫煙の防止対策」などの目標を設定している。
未成年者の喫煙率は、厚生労働科学研究の研究班の2008年の調査によると、男性の中学1年生で1.5%、高校3年生で12.8%、女性は中学1年生で1.1%、高校3年生で5.3%となっており、目標を達成できなかった。
がん対策推進協議会からは「たばこ税率を先進国並みに引き上げるなど、禁煙対策のさらなる推進が必要。禁煙や分煙対策をしている事業所や公共施設などの情報収集や、神奈川県などの取り組みを参考に受動喫煙防止を国レベルで進めるべき」といった意見が出された。
一方、がん拠点病院は4月現在、全国377病院に増え、整備目標を上回った。また、「5年以内にすべてのがん拠点病院で放射線治療や通院による抗がん剤治療(外来化学療法)を実施する」とした目標も今年4月時点で達成、院内がん登録も全病院で実施している。
がん対策推進基本計画(厚生労働省)
[Terahata]