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短すぎる睡眠時間は生活習慣病の危険を高める

キーワード: 高血圧 脂質異常症(高脂血症) 糖尿病 CKD(慢性腎臓病) 肥満症/メタボリックシンドローム 動脈硬化 心筋梗塞/狭心症 脳梗塞/脳出血 三多(多動・多休・多接) 「多休」休養をしっかりとる 疲労(休養不足)

 短すぎる睡眠時間は体に悪影響をもたらし、糖尿病の危険が高まるという研究が海外で2件発表された。十分な睡眠をとり、休息をとることが大切だという。
睡眠時間が短いとインスリン感受性が低下
 1件目は、睡眠時間が短すぎるとインスリンの作用を受ける細胞の感受性が悪くなるインスリン抵抗性が引き起こされ、糖尿病の危険を高めることを示した研究。インスリン抵抗性は高血圧や動脈硬化の進行とも関わりがある。睡眠時間が短い晩がたった1日でもあると、インスリン抵抗性が起こりやすくなるという。

 この研究はオランダのライデン大学メディカルセンターの研究者によって行われたもので、米国内分泌学会が発行する医学誌「Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」オンライ版に4月6日付で発表された。

 研究者らは、ボランティアとして参加した健康な人9人と、1型糖尿病患者7人を対象に、睡眠時間を4時間とってもらったときと、8時間とってもらったときとで比較した。インスリン抵抗性をグルコースクランプ検査で評価した。

 その結果、睡眠時間が4時間の場合は、インスリン感受性が20〜25%低下することが示された。インスリン感受性が低下すると、肝臓での糖の産生や、血液中の糖の筋肉などへの取り込みに悪影響が出てくる。

 「これまで考えられていた以上に、短すぎる睡眠時間が体の代謝調節に悪影響をもたらすことが分かった」と研究を率いたライデン大学メディカルセンターのEsther Donga博士は話す。

 血糖値が正常であっても、睡眠不足がインスリン感受性に悪影響をもたらす可能性があるという。「欧米では過去10年に睡眠時間が短縮している傾向がある。このことはインスリン抵抗性と2型糖尿病の発症の増加に関連していると考えられる。糖尿病の危険因子を重ねもっている人は、睡眠にも気を配る必要がある」と指摘している。

睡眠時間の理想は6〜8時間
 2件目は、英国のウォリック大学(University of Warwick)とイタリアのフェデリコ2世大学(Federico II University)が共同で行った研究。睡眠時間が1日6時間に満たない人は、6〜8時間の睡眠をとる人に比べ、早死する確率が12%高くなるという。

 研究者らは「6時間未満という短い睡眠時間と死亡リスクの増加には明白な関連がある」と強調している。この研究は、米国睡眠学会(APSS)が発行する医学誌「SLEEP(睡眠)」5月1日号に発表された。

 研究では、英国、米国、欧州、東アジアの諸国で実施された16の前向きコホート研究を検証した。約138万人の10年間にわたるデータを解析し、11万件以上の死亡と習慣的な睡眠時間との関連を調べた。睡眠時間が1日6時間に満たない人は、早死する確率が12%高くなるが、6〜8時間とっている人ではこの傾向はみられなかったという。

 ウォリック大学のFrancesco Cappuccio教授は、「睡眠時間が短い人では肥満や高血圧、高コレステロール、2型糖尿病が多い傾向がある」と指摘。睡眠時無呼吸症候群と心疾患、2型糖尿病の発症との関連も報告されている。

 研究では1日9時間を超える睡眠と早死との関連も指摘されたが、過剰睡眠が早死のリスクを高めているのではなく、原因となる疾患が背後に隠れている可能性があると説明している。

 社会が発展するにつれ労働時間が長くなり、睡眠時間の短縮をもたらした。一般労働者でこのパターンがよくみられる。短い睡眠時間は健康状態の劣化に影響しているという。

 Cappuccio教授は「健康に良いのは1晩に6〜8時間眠ることだ。睡眠障害は生活習慣や環境と同じように危険因子となりうる。必要な人は専門家による治療やカウンセリングを受けることも必要になるだろう」と述べている。

 米国睡眠医学会では、質の良い睡眠を得るために、次のことを勧めている。

  • 起床・就寝時刻を決め習慣化する
     起きる時刻と寝る時刻が毎日異なると、体内時計の調子が狂う。起きる時間を決めて「早起き早寝」を心がける。

  • 日中起きている時間はベッドに近づかないようにする
     朝は日光を浴びて、しっかり目覚めるようにする。昼間の眠気が強いときは仮眠でのりきる。ただし、1時間より少なく、午後3時より遅くならないようにする。

  • 睡眠を妨げるカフェイン、アルコール、煙草を使わないようにする
     これらは睡眠の質の低下につながるので、午後や夜は避けたほうがよい。就眠前の食べすぎや激しい運動も刺激になるのでよくない。

  • 休日の‘まとめ寝’は逆効果
     睡眠が不足しているからといって、週末に遅くまで寝ていると睡眠のリズムが狂う。疲れている日は早めに寝るようにしたほうが効果的。

  • 入眠前の入浴、軽食、読書などの習慣を見直す
     リラックスできると思っていることが、実は睡眠を妨げているかもしれない。就眠前の入浴は、お湯が熱すぎると覚醒効果があるので注意。37度から40度のぬるま湯であると、リラックス効果がある。

  • 寝室を暗く、静かに、少し涼しくしておくと眠りやすくなる

  • ベッドに心配事や悩み事をもっていかないようにする
     睡眠はリラックスするための時間。眠れないことに過度の不安を抱かない。

SleepEducation.com(米国睡眠医学会)

Sleep deprivation directly affects blood sugar levels(ライデン大学)
A Single Night of Partial Sleep Deprivation Induces Insulin Resistance in Multiple Metabolic Pathways in Healthy Subjects
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, doi:10.1210/jc.2009-2430

Short sleep increases risk of death and over-long sleep can indicate serious illness(ウォリック大学)
Sleep Duration and All-Cause Mortality: A Systematic Review and Meta-Analysis of Prospective Studies
SLEEP Volume 33 Issue 05, May 01, 2010, 585-592

[Terahata]

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