2010年04月27日
トクホ市場が初の減少 生活習慣病予防の品目は堅調
キーワード:
骨粗鬆症/ロコモティブシンドローム/サルコペニア トクホ 健康食品
健康志向の高まりとともに拡大してきた特定保健用食品(トクホ)の市場が、景気低迷の影響を受け伸び悩んでいる。日本健康・栄養食品協会が公表した2009年度の市場規模は5494億円で、07年度に比べ19%減少した、1997年度の調査開始以来、初の減少となった。
特定保健用食品(トクホ)は、健康の保持増進に資する食品として、政府が特定の保健の目的が期待できることを表記する許可をした食品で、1991年に始まった。栄養機能食品とともに保健機能食品に含まれ、2003年には新規の関与成分などの許可申請に関しては食品安全委員会で安全性の評価について審議を経るようになった。
トクホは、そもそもは医学的な根拠があいまいな「健康食品」と区別することを狙い、ヒト試験で科学的に検討され、適切な摂取量も設定されている。健康への関心の高まりに合わせて、信用や売り上げは増加し、現在では市場に確固たる地位を確立したトクホ商品も多い。団塊の世代を中心に、特定健診でメタボリックシンドローム対策が必要となった中年層の支持も多い。
許可品目数は昨年12月末までの2年間で190件増え、全体で883件に達している。トクホは昨年9月より所管が厚生労働省から消費者庁、消費者委員会へ移され、12月より申請受付が再開された。
順調に成長を続けていたトクホ市場だが、今回の調査では初めて減少に転じた。協会では、景気低迷の影響で消費者の志向が低価格品へと向かい、商品の低価格化をまねいたことを要因としている。こうした傾向は精肉や野菜でもみられる。
市場の過半を占める乳酸菌や食物繊維など整腸関連のトクホの市場規模は、前回調査より11%減少。血中中性脂肪や体脂肪が気になる人向け商品の市場規模は同33%、血圧関連は同17%それぞれ減少した。
一方で、新しいジャンルとして出てきた「疾病リスク低減表示」トクホは、カルシウムなど関与成分の疾病リスクの低減効果が医学的・栄養学的に確立されている場合に表示が認められる。骨・ミネラル関連のトクホは、前回調査の2.6倍と大幅に増加した。コレステロール、血糖値など生活習慣病予防に密着した品目も、着実に伸びている。
販売経路の変化の影響も大きい。主な経路はスーパー、コンビニの3296億円だが、前回調査から約680億円減少した。一方でドラッグ・薬局経路の売上げは好調で、前回調査の1.6倍の300億円近い市場となっている。さらに、通信販売経路では2.2倍、132億円のトクホ商品が流通している。
(財)日本健康・栄養食品協会
[Terahata]