一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
ニュース

食品の果糖添加が肥満を増やす? 「甘い問題」に解決策

キーワード: 脂質異常症(高脂血症) 肥満症/メタボリックシンドローム

 果糖をとりすぎると、砂糖をとったときに比べ、エネルギー摂取量が同じであっても体重増加が大きいという研究が米国で発表された。

 甘味料の種類によって体重が増加するものとしないものがあることを、米プリンストン大学の研究チームがラットを用いた動物実験であきらかにした。研究者らは「食品に含まれる果糖の過剰摂取が、米国人の肥満増加の要因になっている可能性がある」と指摘している。
果糖をラットに摂取させると体重増加が顕著に
 果糖は果物や蜂蜜など、甘い食品に多く含まれる。加工食品の材料(食品添加物)としてもよく使われている。ジュースやコーラなど清涼飲料や菓子類などの甘味の強い加工食品の多くに、高果糖コーンシロップ*が甘味料として使われている。
* 多くの清涼飲料や食品に使われているが、日本では「果糖ブドウ糖液糖」などと表示されることが多い。


果糖を加えた水を与えたラットでは体重増加が顕著だった。実験に使われた果糖は、実際に売られている清涼飲料に含まれるものと同じだという。
 ごはんやパン、穀類、いも、カボチャなどの野菜に含まれる炭水化物が複合糖質であるのに対し、果糖(フルクトース)やブドウ糖は吸収されやすい単糖類。果物にも多く含まれることから「果糖」と呼ばれるようになった。

 果糖は糖の中ではもっとも甘味が強く、多量をとり続けると血中の中性脂肪が上昇しやすくなる。

 研究チームは、高果糖シロップの摂取と肥満の関連を調べるために、2つの研究を行った。1つめの研究では、ラットに2種類の餌を与えて体重の変化を比較した。それぞれ標準的な餌を与えたが、片方は高果糖シロップで甘くした水を、もう片方には砂糖(グラニュー糖)で甘くした水を加えた。

 その結果、エネルギー摂取量は同じであっても、高果糖シロップを与えた方が体重増加が大きかった。

 2つめの研究では、ラットに高果糖シロップを6ヵ月間与え続け、体重増加、体脂肪、中性脂肪値の変化を観察した。高果糖シロップを与えたラットでは、通常の餌を与えたラットに比べ体重が48%も増えていた。

 顕著な体重増加に加え、中性脂肪の著しい増加、腹部で内臓脂肪の沈着が認められた。これらはヒトではメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)と判定される。ラットに高脂肪食を与えた場合でも、これほどの体重増加はみられなかったという。

総エネルギー摂取量の10%を超えないよう推奨
 果糖は、ブドウ糖とは体内での生理作用が異なるので、循環器疾患への好ましくない影響が指摘されている。「果糖が他の甘味料に比べ、特に体重増加や肥満を引き起こしているわけではないとする主張もあるが、我々の研究ではそれが正しくないことが示された」とプリンストン大学のBart Hoebel教授(神経科学)は話す。

 「高果糖シロップを与えたラットでは単に脂肪が増えただけではなく、内臓脂肪と血中の中性脂肪の増加を伴う肥満を示していた。これらはヒトでは高血圧、冠動脈疾患、がん、2型糖尿病の危険因子として知られる」と述べている。

 高果糖コーンシロップと二糖類である砂糖(ショ糖)は、ともに単糖(フルクトース)とブドウ糖を含む化合物だが、明確に違う点があるという。ショ糖は同じ比率の単糖類(フルクトース50%、ブドウ糖50%)から構成されるが、研究で使用された高果糖コーンシロップはフルクトース55%、ブドウ糖42%と比率が不均衡になっている。

 なぜ高果糖コーンシロップがより多くの体重増加をもたらすのかは、食欲や代謝、遺伝子発現の研究では解明されていない。しかし、清涼飲料などの食品の甘味を補うために、フルクトースを50%以上含む高果糖コーンシロップを添加すると、肥満の増加につながることを指摘した研究はこれまでも発表されている。

 世界保健機関(WHO)でも、甘味料として添加した糖の摂取量について、総エネルギー摂取量の10%を超えないように推奨している。

 米国では40年前に、高果糖コーンシロップがコストが安く甘味が強い添加物として食品業界に受けいけられ普及した。それ以降、米国の肥満者の割合は増える一方で、米疾病管理予防センターによると、1970年には米国成人の約15%程度だったが、現在では3人に1人が肥満と判定されるようになった。

 高果糖コーンシロップは、フルーツジュース、炭酸飲料、シリアル、パン、ヨーグルト、ケチャップ、マヨネーズなど多くの食品に含まれている。米国人は1人当たり年間に平均60ポンド(約27kg)の甘味料を消費しているという。

 この研究は米国公衆衛生局の資金提供を受け実施され、医学誌「Pharmacology Biochemistry and Behavior」オンライン版に2月26日に発表された。

A sweet problem: Princeton researchers find that high-fructose corn syrup prompts considerably more weight gain(プリンストン大学)

[Terahata]

関連トピック

疾患 ▶ 肥満症/メタボリックシンドローム

2021年12月15日
「早食い」は肥満や体重増加につながる ゆっくり味わって食べるとエネルギー消費量を増やせる
2021年12月10日
肥満は糖尿病の人にとって大敵 体重をコントロールして糖尿病を改善 成功するためのコツは?
2021年11月10日
新型コロナウイルス感染拡大の陰で起きている体調変化や生活習慣に関する最新調査
2021年10月19日
【新型コロナ】糖尿病と肥満の人はなぜ重症化しやすい? 感染と重症化を防ぐためにこれが必要
2021年10月01日
肥満の人は日常生活動作(ADL)が低下しやすい 健康寿命も短縮 若い頃から健康な生活で対策を

疾患 ▶ 脂質異常症(高脂血症)

2021年07月28日
糖尿病はアルツハイマー病の危険因子 脳を活性化して予防 新しいことにもチャレンジ
2021年04月16日
人工知能(AI)により生活習慣病の将来リスクを予測 保健指導での意識・行動の改善に貢献 国際医療研究センターなどが共同研究
2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
運動をすると睡眠を改善できるのはなぜ? 日中に活発なウォーキングを1時間行うと効果的 睡眠時の脳波を調査
2021年04月16日
オフィスを活動的にすると「座り過ぎ」が減る 肥満やメタボの検査値も改善 オフィス環境づくりは大切
予防月間2022
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート