2009年06月30日
脳卒中:適切・迅速な治療を求め法整備案 脳卒中協会
キーワード: 脳梗塞/脳出血

日本脳卒中協会は6月、国の脳卒中対策の基本的な方針を示す「脳卒中対策基本法要綱案」を発表した。
法整備で脳卒中の適切治療を促す
要綱案は日本脳卒中協会が中心となり専門家からの意見をふまえて作成したもので、法制化により脳卒中の症状や発症時の対応に関する市民の知識普及や、脳梗塞の効果的な治療薬である血栓溶解薬(t-PA)の普及促進などを目指す。近日中に各国会議員に送付し、協力を訴える。
同協会の要綱案の基本理念として、以下のことなどを示している――
- 予防と発症後の適切な対応について、国民への啓発・教育を行う。
- 全国どこでも脳卒中患者に速やかに専門的治療が行われ、救急・急性期から維持期まで切れ目なく継続される。
- 脳卒中後遺症患者と介護を行う家族の生活の質を維持し向上させ、社会参加を促す。後遺症患者が医療、リハビリなどを受けることができるようにする。
- 脳卒中の克服を目指した、教育と研究を推進する。
脳梗塞の新しい治療「t-PA」
血栓溶解薬「t-PA」による治療は、脳梗塞の急性期治療に効果的として2005年10月に保険適用された。しかし、同協会によると、この治療法を受けているのは脳梗塞患者の約2%にとどまるという。
t-PA治療は日本では以前から心筋梗塞に対してのみ許可されていたが、少量で効き比較的安全であるという海外の知見が増え、日本でも行えるようになった。脳梗塞や心筋梗塞は血管が詰まることで引き起こされる。血液の塊で栓をされて血液が流れなくなるのが「血栓症」で、t-PAにより血栓を溶かす治療が有効となる。
しかし、血栓溶解薬の使用は出血という合併症を引き起こす可能性があり、また、「発症後3時間以内」という使用制限があるため、適切で迅速な治療が重要となる。同協会は、t-PA治療の実施が増えない原因として、「現在の救急搬送体制が脳梗塞治療に適した体制になっていない」、「国民に対する啓発活動が十分でない」などと分析し、2008年8月以降、関係学会なども含め法案の検討を進めている。
社団法人日本脳卒中協会一般社団法人日本脳卒中学会
脳卒中はがん、心臓病に次いで、国民の死因の第3位を占める。また、また後遺症が残りやすく寝たきりになる原因の第1位になっている。症状は短時間で意識がなくなる、ろれつが回らなくなる、顔半分や半身の麻痺、激しい頭痛など。脳卒中の原因として、脳内の血管が破れて出血する脳出血、動脈のこぶなどが破裂するくも膜下出血、血管が詰まって起こる脳梗塞と主に3つがあげられる。
糖尿病の人は、血糖コントロールが良好でないと、脳梗塞や心筋梗塞が起こりやすくなる。糖尿病と脳梗塞の予防・対策について、下記ページで解説している。
糖尿病と脳梗塞・心筋梗塞(糖尿病セミナー)
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