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「高カロリーの清涼飲料への課税」は肥満対策になる 米研究

キーワード: 二少(少食・少酒) 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム

 砂糖や果糖など糖質を多く含む清涼飲料を飲みすぎると、肥満や2型糖尿病、心臓病の発症・進行の危険が高まる―米国で増加している肥満や太りすぎの原因のひとつは高カロリーの清涼飲料の飲みすぎで、消費税を引き上げればこれらの飲料の消費が減り、病気の予防につながるという研究論文が、米国で発表された。税による収入は、健康増進プロジェクトの資金源にもなる。

 米国では肥満者の割合が上昇を続けており、肥満対策をめぐる議論が活発化している。米国の保健医療制度の見直しを進めているオバマ米大統領は9月、カロリーが高く肥満の原因となりやすいジャンクフードへの新たな課税が肥満対策に役立つ可能性があると発言した。各州で検討されている肥満対策には、ジャンクフードや清涼飲料などの宣伝抑制や、栄養表示などのラベルの義務づけ、野菜や低脂肪の肉など健康的な食品の販売への助成などがある。

 今回の研究発表も米国の肥満対策に一石を投じることになりそうだ。この研究は、イェール大学・ラッド食料政策・肥満センターのKelly D. Brownell博士らによるもので、米医学誌「New England Journal of Medicine」オンライン版に9月に発表された。

清涼飲料の飲みすぎが肥満や2型糖尿病の原因に
 論文では、ショ糖(グラニュー糖)、トウモロコシからつくった果糖などを入れ甘くしたコーラやジュースなどの清涼飲料の飲みすぎが、米国の肥満や過体重のまん延を引き起こしており、これらの飲料に課税をすれば、医療費の削減につながるだけでなく、政府が健康増進を目的に運営するプログラムの資金源にもなるとしている。

 米国で糖質の多い甘い清涼飲料の消費が増加している。例えばメキシコ州では1999年から2006年にかけて全ての年齢層で消費が2倍になった。こうした清涼飲料の1日あたりの消費は、米国の最近の調査によると子供では172kcal、成人では175kcalになる。

 清涼飲料の飲みすぎと体重の関連を調べた研究は多く、それらの研究をメタ解析したところ、あきらかに清涼飲料の消費と肥満や太りすぎの増加は関連があるという。

 ボストン小児病院で中学生を対象に行われた前向き研究は、1日あたりに清涼飲料を多く飲む子供では、肥満になる危険が60%高くなることが示された。また、ハーバード公衆衛生大学院の研究者らが行った8年におよぶ前向き研究では、清涼飲料をよく飲む女性では、カロリーのとりすぎにより体重の増加が大きく、これらの飲料に含まれる砂糖や果糖は吸収が早いために、2型糖尿病を発症する危険も高くなるという結果になった。

 また、8万8500人の女性が参加し行われた「看護師の健康調査(Nurses Health Study)」では、清涼飲料を多く飲む人では、あまり飲まない人に比べ、体重増加が多く、心疾患や2型糖尿病の危険が高くなることが分かった。

 米国の33の州で清涼飲料に消費税がかけられており、平均税率は5.2%になるが、研究者らは「この税率は低すぎるので、消費に与える影響が少なく、健康増進に関わるプロジェクトの資金にもならない」と指摘している。

 課税することで、清涼飲料20オンス(約600mL)あたりの価格は15〜20%高くなる。1オンス当たり1セントの消費税を加えることで、清涼飲料の消費量が10%減り、平均的には1人1日当たりのカロリー摂取量を20kcal減らすことができる。これは肥満予防のための減量に十分な量で、清涼飲料をよく飲む人ほど恩恵を期待できるという。

 一方で、カロリー摂取量をコントロールするために、低カロリー甘味料を使用した清涼飲料や食品の利用も有用だ。研究者らは「甘味に慣れてしまうことで、逆にカロリー摂取が増える心配がある」としながらも、「低カロリーの清涼飲料には課税を求めない。肥満対策を早く実行することが肝要だ」としている。

 米国では、肥満や太りすぎに関わる医療費は1470億ドル(約13兆2300億円)に上り、全医療費の9%に達している。研究者らは、清涼飲料上1オンス当たり1セントの課税により、初年度だけでも149億ドル(約1兆3400億円)の収入を得ることができると試算している。収入は子供の栄養プログラム、肥満予防プログラム、医療保険に加入していない人のための支援などに役立てることができる。

 州においても課税による収入は大きい。例えば、アーカンソー州では1億3900万ドル(約125億円)、オレゴン州では1億8300万ドル(165億円)、アラバマ州では2億2100万ドル(199億円)、フロリダ州では9億2800万ドル(835億円)、ニューヨーク州では9億3700万ドル(843億円)、テキサス州では12億ドル(1080億円)、カリフォルニア州では18億ドル(1440億円)になる。

The Public Health and Economic Benefits of Taxing Sugar-Sweetened Beverages

[Terahata]

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