2009年10月21日 OTC医薬品(一般用医薬品)市場はマイナス成長 キーワード: トクホ 矢野経済研究所調査 矢野経済研究所の調査によると、2008年の指定医薬部外品を含むOTC医薬品(一般用医薬品)の市場規模は7740億円(メーカー出荷金額ベース)で、前年比1.0%減のマイナス成長だった。前年が8年振りのプラス成長となり回復の兆しをみせたものの、1年で再びマイナスに転じた。 鼻炎治療薬や漢方薬は好調に推移し、禁煙補助剤のパッチ剤など、新たなスイッチOTC(医療用医薬品の成分を転用した一般用医薬品)が発売されプラス要因がみられたが、全般には市場競争の激化や景気後退による消費低迷などが影響し、1500億円の減少を余儀なくされた。 主要5薬効別の動向は、▽総合感冒薬 765億円(前年比横ばい)、▽ドリンク剤・ミニドリンク剤 1950億円(2.5%減)、▽ビタミン剤 675億円(2.9%減)、▽胃腸薬 440億円(2.2%減)。 総合感冒薬やドリンク剤・ミニドリンク剤での価格競争や景気後退による消費低迷に加え、ビタミン剤では特定保健用食品などとの競合が激しさを増したとしている。 今年6月の改正薬事法の施行により、一般用医薬品は副作用を及ぼすリスクに応じて3分類され、もっともリスクが高い第1類医薬品については薬剤師による対面販売が義務付けられた。品目の大半を占める第2類と第3類医薬品は薬剤師が不在でも新制度の登録販売者を置けば、販売することができるようになった。 新制度の新設でコンビニエンスストアなどの異業種参入が期待されたが、登録販売者の確保や採算性などの観点から、同研究所は「店舗は限定的で、実験的な展開に止まっている」と分析。 将来的には異業種の新規参入が本格化し、OTC医薬品を取り扱う店舗が増加し、スイッチOTC開発がさらに進展すると推測しているが、成果が出てくるのは2011年〜12年頃だという。全体の販売数量を増加するためには、これまでOTCを利用していなかった顧客をとりこむことが鍵となる。 (株)矢野経済研究所 [Terahata] 日本医療・健康情報研究所 ◀ 前の記事へ 次の記事へ ▶